2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591609
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
波多野 悦朗 京都大学, 医学研究科, 講師 (80359801)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
安近 健太郎 京都大学, 医学研究科, 助教 (00378895)
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Keywords | 肝細胞癌 / 小胞体ストレス / CHOP / GADD153 |
Research Abstract |
肝疾患の進展、肝細胞癌の発生、増殖における小胞体ストレスおよびCHOP (GADD153)の役割を明らかにするため、以下の実験をおこなった。 実験1) ヒトの肝細胞癌手術標本を用いて癌部、非癌部のCHOPの発現をWestern blottingにて検討した。正常肝に比べC型肝炎の傷害肝でCHOPの発現は亢進し、癌部ではさらに高発現であった。一方、B型肝炎を背景とした肝細胞癌では、C型肝炎を背景とした肝細胞癌と同様にCHOPの発現は亢進していたが、B型肝炎の傷害肝でのCHOPの発現は正常肝と同様であった。以上より、B型肝炎およびC型肝炎を背景とした肝発癌には異なる小胞体ストレスが及んでいることが示唆された。 実験2) ジエチルニトロサミンを腹腔内投与し34週後の肝発癌をC57BL6マウス(野生型)とCHOPノックアウトマウスで現在比較検討中である。当該年度中には動物実験での明確な結果は得られなかったものの、現在stress-activated MAPKの肝発癌における関与(JNK, p38)が明らかにされつつあり、小胞体ストレスとCHOPの関与も期待し、実験を継続中である。 今後は、小胞体ストレス制御による肝発癌、進展予防を目的に、背景肝疾患に応じたストレス制御による肝癌予防薬の開発に着手したい。また、肝切除後の再発予防にも小胞体ストレス制御は役立つことが期待される。
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