2010 Fiscal Year Annual Research Report
多面的な分子生物学的解析による非B非C型肝細胞癌発癌機構の解明と臨床応用
Project/Area Number |
20591616
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
久保 正二 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (80221224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹村 茂一 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (00322363)
田守 昭博 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (30291595)
上西 崇弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (70382108)
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Keywords | 肝細胞癌 / B型肝炎 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 生活習慣病 / 肝切除 / 糖尿病 |
Research Abstract |
本研究は多面的な分子生物学的手法による非B非C型肝細胞癌の発癌機構や臨床病理学的特徴を明らかにし、これらの症例に対する適切な治療法を確立することを目的としている。 当科における肝細胞癌切除例のうちB型肝炎関連肝細胞癌97例、C型肝炎関連肝細胞癌355例、非B非C型肝細胞癌104例の臨床像と切除成績を比較した。その結果、非B非C型肝細胞癌では糖尿病、高血圧、高脂血症、アルコール多飲歴が他の群に比較して有意に多かった。肥満もB型肝炎関連肝細胞癌に比較して非B非C型肝細胞癌では有意に多かった。一方、非B非C型肝細胞癌104例中、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)が16例にみられた。非B非C型肝細胞癌症例の無再発生存率はB型肝炎関連肝細胞癌のそれに比較して有意に良好であった。したがって、非B非C型肝細胞癌において、肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症、アルコール多飲、NASHが危険因子であり、C型肝細胞癌に比較して、良好な予後が期待される。さらに、糖尿病合併肝細胞癌切除例と糖尿病非合併肝細胞癌切除例の切除成績を比較した。両群の背景因子に差はみられなかった。糖尿病合併肝細胞癌症例の切除成績をみると、糖尿病自体は予後不良因子ではなかったが、術後の血糖コントロール不良例の無再発生存率はその他の症例のそれに比較して不良であった。すなわち、術後血糖コントロールが不良であることは、肝細胞癌切除後予後不良因子であった。なお、切除術式は予後に大きな影響を与えなかった。以上より、非B非C型肝細胞癌症例において、糖尿病や肥満など代謝に関与する因子が発癌や術後再発に重要であることが示唆された。
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Research Products
(19 results)