2010 Fiscal Year Annual Research Report
閉塞性黄疸肝における阻血再潅流障害後の肝組織リモデリングと再生シグナルの解明
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20591621
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 厚 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70344984)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
清水 宏明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80272318)
吉留 博之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10312935)
古川 勝規 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00400987)
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Keywords | 閉塞性黄疸 / 阻血再灌流 / 肝再生 / 転写因子 / 肝星細胞 |
Research Abstract |
1.閉塞性黄疸肝および脂肪肝における肝阻血再灌流障害の実験的検討 胆管結紮後のマウス閉塞性胆汁うっ滞肝に阻血再灌流障害を加えると、胆汁うっ滞肝での肝阻血再灌流後の血清ALTは有意に上昇し、血球のpluggingと凝固壊死主体の組織障害を広範に認めるが、好中球浸潤はむしろ低下していることが確認された。黄疸肝では肝微少循環に関与する肝組織中および血清中endothelin-1の産生増強を認め、さらにhepatic stellate cell(肝星細胞)の活性化を認めたことより肝阻血再灌流後の肝障害増強の機序として、好中球主体の肝障害とは異なり、endothelin-1の産生増加と肝星細胞の活性化による内皮細胞障害にともなう肝微少循環不全が関与していることが示唆された。また、脂肪肝において阻血再灌流障害の増悪が観察され、肝細胞のアポトーシスが誘導されており、その機序としてmitochondrial permeability transition poreの関与が推察された。 2.大量肝切除後および門脈塞栓術後の肝再生に関する臨床的検討 胆道癌に対する拡大肝葉切除後の肝再生の検討では、肝切除後に残肝は急速に再生増大するが、肝不全症例では肝再生の程度は遅延しており、また肝細胞機能障害、肝浮腫の指標としての肝CT値を測定すると、術後高ビリルビン血症および肝不全症例では有意にCT値の低下を認めていた。また、門脈塞栓術後の肝再生の誘導にはVEGFが関与しており、肝再生予測因子として有用である可能性が示唆された。さらに、黄疸肝症例では減黄の有無に関わらず肝再生が誘導され、拡大肝切除を予定する胆道癌症例に対する門脈塞栓術は黄疸の有無にかかわらず安全に施行できる手技であると考えられた。
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Research Products
(3 results)