2009 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌補助療法の個別化および分子標的治療を目指したアネキシン2の臨床応用
Project/Area Number |
20591622
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高野 重紹 Chiba University, 医学部附属病院, 助教 (20436380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉富 秀幸 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (60375631)
古川 勝規 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00400987)
加藤 厚 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (70344984)
清水 宏明 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80272318)
宮崎 勝 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70166156)
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Keywords | 膵臓癌 / 腫瘍マーカー / 抗癌剤耐性 / 個別化治療 |
Research Abstract |
膵癌は消化器癌の中でも予後不良の疾患であり、特に薬剤に対する治療抵抗性が治療成績を悪化させている一因である。そこで本研究の目的は、膵癌に対するプロテオーム解析で見出した、抗癌剤耐性因子Annexin II(Anx2)による膵癌の薬剤耐性獲得の機序を解明し、新しい標的分子として治療、特に個別化治療へ応用することである。 本研究では1)膵癌切除標本のAnx2免疫染色法でGEM効果予測を行い術後補助療法の最適化を計る。2)Anx2の薬剤耐性機序の詳細な解明(特に細胞内のシグナル伝達経路への関与)、膵癌細胞のAnx2発現阻害・抑制したときのGEM殺細胞効果の増強を証明し、新規分子標的治療薬として臨床応用を目指す。これらを2つの柱とし、現在研究を進めている。 1)免疫組織染色法による術後補助化学療法の効果予測;当科で根治手術施行され術後GEMによる補助化学療法が行われた膵癌切除標本の免疫染色を行い、Anx2発現の染色性を強弱の2群に分けて比較検討し、Kaplan-Meier法による無再発生存期間の差異、臨床病理学的因子との単・多変量解析による再発予後因子の解明をするため症例数の蓄積(現在約130例)を行っている。2)In vitroにおけるAnx2阻害によるGEM殺細胞効果増強の検討;当科で確立したGEM耐性膵癌細胞株を用い、Anx2の癌細胞における機能を抑制することでGEM殺細胞効果増強が認められないか検討する。Anx2の細胞内の働きをみるためAnx2特異的なsiRNAを用いてAnx2蛋白発現を抑制したときの細胞内シグナル伝達経路の詳細な解明を行っている。現在のところ膵癌細胞内ではAnx2を抑制すると、PI3K/Akt/mTOR pathwayとERK signal pathwayのリン酸化蛋白発現の増減が認められ、これらの経路が関与していることが判明している。
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