2010 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオーム解析を用いた膵癌の発癌関連蛋白質の検討と早期診断マーカーの検出
Project/Area Number |
20591628
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
吉野 茂文 山口大学, 医学部附属病院, 准教授 (60294633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
爲佐 卓夫 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (30359905)
坂本 和彦 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (50420526)
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Keywords | 膵癌 / プロテオーム解析 / 発癌関連蛋白質 / 早期診断マーカー / 血清マーカー / α-1-antitripsin |
Research Abstract |
膵癌は極めて予後不良な疾患である。現在の医療技術では、この疾患の治療成績を上げる方法は早期発見早期治療のみであり、一般検診レベルでも施行できるような非侵襲的かつ簡易的な診断システムの開発が急務である。本研究の目的は、蛋白質の網羅的解析を可能にした二次元電気泳動と質量分析法によるプロテオーム解析を用いて、膵癌の発癌及び進行に関連するタンパク質を解析・同定することで新たな早期診断マーカーを見出そうとするものである。 膵癌患者40例の血清および膵疾患あるいは悪性腫瘍の既往がない健常人20例の血清を用いて二次元電気泳動を行った。すべてのサンプルについて、等電点電気泳動装置を用いて一次元目の等電点電気泳動の後に、水平式SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)装置を用いた二次元目の電気泳動を行った。脱色後、ゲル中のタンパク質スポットは二次元画像解析ソフト(Progenesis Discovery Workstation 2005^<TM>)で解析して膵癌患者、健常人の血清において異なる染色強度を示すタンパク質スポットをピックアップした。 膵癌患者血清と健常人血清で有意差を持って発現に差があり、発現が1.5倍以上のスポットを2種類同定した。これらのタンパク質スポットをliquid chromatography-tandem mass spectrometry (LC-MS)により解析した結果、α-1-antitripsinのisoform 1およびisoform 2であった。さらにWestern blotにより膵癌患者20例と健常人20例の血清を用いてα-1-antitripsinの発現を確認した結果、膵癌患者では健常者に比べて有意に発現が増強していた。 以上の研究成果より、血清中のα-1-antitripsinは、膵癌の診断およびモニタリングの良いバイオマーカーになる可能性が示唆された。
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