2009 Fiscal Year Annual Research Report
NOによる蛋白の翻訳後修飾を介した機能制御機構のプロテオーム解析と癌治療への応用
Project/Area Number |
20591633
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
杉田 裕樹 Kumamoto University, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (30398218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高森 啓史 熊本大学, 大学院・生命科学研究部, 講師 (90363514)
広田 昌彦 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80284769)
蒲原 英伸 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (90398222)
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Keywords | 一酸化窒素(NO) / IRS-1 / IGF-I / Akt / PKB / 膵癌 |
Research Abstract |
癌細胞における一酸化窒素(NO)のIGF-Iシグナルに与える影響について、とくにIRS-1蛋白発現制御から検討した。 膵癌細胞であるMIAPaCa-2細胞においてNO供与体であるSNAPおよびGSNOはともにIRS-1蛋白発現を抑制すると同時に、IGF-1シグナルを抑制したが、一方Ras/Erkpathwayは亢進させた。IRS-1を遺伝子導入し高発現株の細胞増殖は亢進するとともにNOの抑制に対する感受性は高かった。IRS-1C末端欠損の遺伝子を導入し安定発現させた細胞株においては細胞増殖は抑制され、さらにNOに対する感受性も低下した。 膵癌細胞Panc-1にselective iNOS inhibitorである1400Wを添加すると濃度依存性でIRS-1蛋白の発現が増加した。さらに、これと相関してIGFシグナルおよび細胞増殖も亢進した。これには、内因性のNOが関与しているとおもわれる。 これらのことより、IRS-1の発現はIGF-1シグナルのよび膵癌細胞の増殖に重要であり、NOはIRS-1発現を制御することによって増殖抑制効果を示すと考えられた。 癌細胞の増殖、浸潤、アポトーシスに関与する蛋白の発現および活性制御の多くは蛋白の翻訳後修飾により制御されているが、NOによるIGF-Iシグナルの制御と増殖抑制のメカニズムの一部を解明した。これは新たな癌治療の開発へと結びつくことであろうと思われる。
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Research Products
(2 results)