2008 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞理論に基づいたがん根治療法への展開は可能か?
Project/Area Number |
20591634
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高森 啓史 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 講師 (90363514)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広田 昌彦 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80284769)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20452899)
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60452900)
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Keywords | がん幹細胞 / 転移制御 / がん根治治療 / 消化器がん / 正常幹細胞 / 正常幹細胞 |
Research Abstract |
難治がんである膵がんに対する現行のパラダイムに基づいた治療には限界があることを鑑み、膵がん治療成績向上のために新たなパラダイムを礎とした治療法の開発を行う事が本研究の目的である。 がん治療上、転移の制御は最大の難題であり、特に膵がんの場合には、組織学的治癒切除後でも、多くの症例で転移再発を認める。がん幹細胞理論では、分化したがん細胞は腫瘤形成能を有さず、がん幹細胞のみが同能力を有するとされている。したがって、転移巣形成制御には、血液中および腹腔内の遊離がん幹細胞をターゲットとした治療法の有用性が示唆される。そこで、生体内でのがん幹細胞の動態やその特徴の解析を行い、さらに、正常幹細胞に発現せず、がん幹細胞に特異的に発現する分子を同定し、がん幹細胞をターゲットとした治療法の開発を確立することは、がん克服上最も有用な治療戦略と考えられる。 ポリコーム群蛋白であるBmi-1は、幹細胞の自己複製に必須な分子である。今回、膵がん組織におけるBmi-1の発現を免疫組織学的に検討した。同組織の中で、間質細胞にはその発現を認めなかった。一方、がん胞巣の核内に強くその発現を認めた。このことは、膵がん原発巣の中に自己複製能を有するがん細胞が存在することを示唆している。Bmi-1の発現と組織学的悪性度や転移能との関連を検討することは、癌細胞におけるBmi-1の発現の意義を知る上で、重要と考えられる。今後、さらにBmi-1の新規標的分子の解析を行い、Bmi-lに対する分子標的治療の可能性を検討する予定である。
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Research Products
(28 results)