2009 Fiscal Year Annual Research Report
がん幹細胞理論に基づいたがん根治療法への展開は可能か?
Project/Area Number |
20591634
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高森 啓史 Kumamoto University, 大学院・生命科学研究部, 講師 (90363514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣田 昌彦 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80284769)
林 尚子 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (20452899)
堀野 敬 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (60452900)
|
Keywords | がん幹細胞 / 転移制御 / がん根治治療 / 膵がん / 正常幹細胞 |
Research Abstract |
難治癌である膵がんに対し、現行の治療法では生存成績の劇的な改善は望めず、新たなパラダイムに基づいた治療法の開発が必要である。そこで、難治癌に対し、がん幹細胞理論に基づいた新たながん根治療法が可能であるかを検討する事が本研究の目的である。 ポリコーム群蛋白のひとつであるBmi-1は、幹細胞の自己複製に必須な分子である。そこで、切除した膵がん組織におけるBmi-1の発現を免疫組織学的に検討した。Bmi-1陽性症例と陰性性症例を認めた。そこで、Bmi-1発現群と未発現群の2群に分け、予後との相関を検討すると、両群間に有意差は無かった。また、Bmi-1陽性症例において、Bmi-1(+)細胞の腫瘍組織内分布には特記すべき特徴は無く、びまん性に発現していた。 EZH-2もまたポリコーム群蛋白のひとつであり、増殖および自己複製への関与が報告されている分子である。そこでEZH-2の発現状態を膵管内乳頭粘液腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm : IPMN)の切除標本を用いて検討した。EZH-2蛋白の発現は、癌化した腫瘍細胞には認められたが、腺腫、異型腺管上皮および正常腺管上皮にはその発現を認めなかった。このことにより、癌化の過程において、EZH-2の発現が重要な役割を担っている可能性が示唆された。したがって、EZH-2発現機序を解明し、さらにEZH-2抑制によるがん幹細胞の変化を明らかにする事により、EZH-2をターゲットとしたがん幹細胞理論に基づいた新たながん根治療法の開発の糸口になると考えられた。
|