2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田林 晄一 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90142942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋木 佳克 東北大学, 病院, 講師 (50372298)
川本 俊輔 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20400244)
本吉 直孝 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40375093)
圓山 重直 流体科学研究所, 教授 (80173962)
小宮 敦樹 流体科学研究所, 助教 (60371142)
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Keywords | 脊髄保護 / 神経保護 / 局所冷却 |
Research Abstract |
近年心臓血管外科手術成績は向上している。その中で胸腹部大動脈瘤手術は最大侵襲の手術であると言える。しかし術後合併症に対麻痺(下半身麻痺)があり、種々の対応策が考慮されている。この対麻痺は術中の脊髄虚血に起因している。当施設ではこの脊髄虚血に対して、実験から得られた知見を元に脊髄の局所冷却法を確立した(硬膜外腔冷水注入法)。ただしこの方法には冷水を脊髄周囲に注入するために、逆に脊髄に圧迫障害を与える可能性がありうる。これを回避するため体表冷却を付加し、さらに冷却効率を高めようと言うのが本研究の目的である。ただし現状においては、体表冷却による深部への温度伝達については不明であった。そこでまず仮想的に、人体構成要素(骨・筋肉・血管など)の相違を加味した人体の二次元的温度伝達シミュレーションモデルを作成した。これにより大まかな深部伝達の様相が明らかとなった。その後三次元化したモデルでのシミュレーションを作成、さらに温度伝達の上で問題となる(1)空気層による熱抵抗、(2)血流分布の変化、も十分考慮されたものとなった。その後人体での体表冷却実験は現在のところ2例施行しており、低温化の付加的効果が期待できる。ただし先行実験の効果と安全性の証明のために、今後あと数例の人体での評価が必要と考える。その後は三次元化シミュレーションモデルの修正検討を行い、併せて臨床での使用に関し倫理委員会への申請・承認が必要となる。臨床応用が可能となった後は、脊髄冷却及び保護効果の評価・検討、また従来の硬膜外冷水注入法単独との比較検討を行う予定である。この検討には、脊髄液温を測定するツールをすでに使用しているため問題はないものと考えている。
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