2008 Fiscal Year Annual Research Report
虚血プレコンディショニングによる心筋保護作用の機序の解明--幹細胞の視点から
Project/Area Number |
20591648
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森景 則保 Yamaguchi University, 大学院・医学系研究科, 助教 (50335741)
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Keywords | Ischemic Preconditioning / 虚血再灌流障害 / 幹細胞 |
Research Abstract |
虚血プレコンディショニング(Ischemic Preconditioning:IPC)は先行する短時間の虚血により、その後に生じる虚血再灌流障害を経減する生体防御反応である。IPC直後から数時間以内(early phase)とIPC後24〜48時間(late phase)の経時的な2相性の出現が示されている。近年、虚血性心疾患などの障害心筋の修復や再生における幹細胞の関与や、IPC後24時間前後の血中での血管内皮前駆細胞の増加が報告されている。そこで、本研究ではIPC後のlate phaseでの心筋保護効果に幹細胞が関与するか否かを解明することを目指す。本年度は、遠隔臓器でのIPC(Remote IPC:RIPC)モデルを用いて、RIPC後の末梢血中の心筋保護液性因子と幹細胞の経時的な変化を調べた。RIPCモデルは、C57BL/6マウスのiliac artery分岐部直上の腹部大動脈をtapingし、腹部大動脈遮断による5分間虚血と5分間灌流を4サイクル行うことによって作製した。なお、Sham開腹したマウスを対照群とした。RIPC施行して0、1、3、6、12、24、48、72時間後に腹部下大静脈より末梢血を採取し、血清と溶血により赤血球を除いた有核細胞を以下の実験に用いた。液性因子であるVEGFやSDF-1の血清中濃度をELISA法にて定量した結果、RIPC施行1、3時間後(early phase)に対照群と比較して有意に高値を示した。一方で、Flow cytometry解析により、CD34/Flk-1陽性細胞を定最評価した結果、RIPC施行24時間後(late phase)に上昇のピークが認められた。以上の結果から、IPC後の心筋保護液性因子(early phaseでピーク)と幹細胞の動態変化(late phaseでピーク)には解離があることがわかった。
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Research Products
(3 results)