2009 Fiscal Year Annual Research Report
虚血プレコンディショニングによる心筋保護作用の機序の解明――幹細胞の視点から
Project/Area Number |
20591648
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
森景 則保 Yamaguchi University, 医学部附属病院, 助教 (50335741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古谷 彰 山口大学, 医学部附属病院, 講師 (90346552)
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Keywords | Ischemic preconditioning / 虚血再灌流障害 / 幹細胞 / 骨髄幹細胞 / 虚血プレコンディショニング |
Research Abstract |
虚血プレコンディショニング(Ischemic Preconditioning : IPC)は先行する短時間の虚血により、その後に生じる虚血再灌流(I/R)障害を軽減する生体防御反応である。本研究ではIPCによる心筋保護効果に幹細胞が関与するか否かを解明することを目的とし、21年度は以下の検討を行った。GFP骨髄キメラマウスを用いて、iliac artery分岐部直上の腹部大動脈遮断による5分間虚血と5分間灌流を4サイクル行うことで、遠隔臓器でのIPCモデル(Remote IPC : RIPC)を作製した。さらに、RIPC刺激の直後(early phase)と24時間後(late phase)に心筋I/R障害モデルを作製し、それぞれ、early群、late群とした。また、Sham開腹後にI/R障害を作製したマウスを対照群とした。I/R障害作製2週間後、対照群と比較して、early群およびlate群の左室内径短縮率は有意に高かつた(p<0.001)。また、early群およびlate群では左室における線維化率が有意に減少していた(p<0.005)。さらに、I/R障害1日後、対照群と比較して、early群およびlate群では心筋のアポトーシス(TUNEL陽性細胞数)が有意に減少していた(p<0.001)。以上より、IPCのearly phaseおよびlate phaseにおいてI/R障害に対する心筋保護効果が証明された。さらに、I/R障害作製1日後に免疫組織学的評価を行った結果、対照群と比較して、early群およびlate群ではリスクエリアでの骨髄由来幹細胞(GFP+/Sca-1+およびGFP+/c-kit+)の数が有意に多かった(p<0.01)。さらに、early群と比較し、late群では骨髄由来幹細胞の集積が約2倍も多く認められた(p<0.05)。また、フローサイトメトリー分析においても、early群と比較し、late群では約2-3倍の骨髄由来幹細胞が心臓内に集積している事が確認された。以上の結果から、I/R障害に対する心筋保護効果に、IPCにより動員された骨髄由来幹細胞の障害心筋への集積が関与することが示唆された。
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Research Products
(2 results)