2008 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄単核球細胞移植による肺血管新生機序解明に関する研究
Project/Area Number |
20591649
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉田 誉 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50448338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 哲也 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (80240886)
北市 隆 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (20335813)
黒部 裕嗣 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (30380083)
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Keywords | 再生医療 / 細胞治療 / 血管新生 / 肺高血圧 / 循環器 |
Research Abstract |
【目的】マウスmonocrotaline(MCT)誘発肺高血圧モデルを用いて,肺高血圧に対する治療的血管新生の効果を確認するとともに、VEGF-VEGFR系を介する血管新生の機序について考察した.【方法】雌性C57BL/6マウス(8週齢)に対してMCT80mg/kgを投与し,肺高血圧モデルを作成した.4週後に同種同性のdonorマウス(8週齢)長管骨より採取した骨髄単核球(BMMNCs)を1匹あたり1×10^7個(0.25ml)経静脈投与した(BMT群,n=10).肺高血圧症の改善効果を検討するために,右室高血圧の指標である右室心筋重量比,組織学的な肺細動脈中膜肥厚の程度(%medial thickness)および光学顕微鏡40倍1視野あたりの100μm径以下の肺動脈数を測定した.BMT群と,BMMNCs非投与の対照群(nBMT群,n=10)を比較検討した.さらに血管新生機序を確認するために,肺高血圧モデルならびにBMMNCs移植1週後の肺におけるVEGF発現度を測定した.また,BMMNCs移植とともにVEGFR-2拮抗薬を投与し肺高血圧症の改善効果を評価した.【結果】MCT非投与normalマウスと比較してMCT投与後4週後の肺高血圧マウスでは右室心筋重量比は0.203±0.02から0.296±0.04へ(p<0.01),%medial thicknessは7.5±2.2%から21.5±5.2%へ上昇し(p<0.01),1視野あたりの肺動脈数は20.9±4.8から5.1±1.7に減少していた(p<0.01).BMMNCs移植4週後には右室心筋重量比は0.218±0.01へ(p<0.05),%medial thicknessは7.7±2.2%へ改善し(p<0.01),1視野あたりの肺動脈数は17.1±2.6に増加していた(p<0.01).MCT投与8週後のnBMT群では,さらに肺高血圧の増悪所見を認めた.肺におけるVEGFの発現は,BMMNCs移植1週後に著明に上昇していた.また,VEGFR-2拮抗薬投与を行うと肺高血圧改善効果は抑制された.【考察】経静脈的骨髄単核球移植による治療的血管新生により肺高血圧症が改善した.肺血管床の質的,量的な改善機序として,VEGF-VEGFR系を介した血管新生が重要な役割を担っている.
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Research Products
(4 results)