2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドを用いた虚血性脊髄障害治療の理論的基盤の確立
Project/Area Number |
20591652
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岡嶋 研二 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 教授 (60152295)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 直明 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (00309915)
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Keywords | ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド / 知覚神経 / カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 脊髄障害 / アポトーシス / インスリン様成長因子-I |
Research Abstract |
ラットの虚血性脊髄障害モデルを用いて、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドが、知覚神経を刺激して、傷害組織のインスリン様成長因子-I(IGF-I)の産生を促進するか否かを検討するために、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプ(CGRP)チドを投与したラットの脊髄組織のIGF-I濃度を測定した。その結果、カルシトニン遺伝子関連ペプチドの濃度がピークに達する脊髄虚血再灌流後60分で、IGF-I濃度がピークに達した。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド投与によるIGF-I濃度増加は、動物をバニロイド受容体-1活性化阻害物質であるSB366791、およびCGRP受容体の阻害物質であるCGRP8-37で前処置することで、有意に抑制された。これらの事実は、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドは、ラット脊髄虚血障害モデルで、障害局所の知覚神経を刺激することで、IGF-Iの産生を促進する可能性を示している。 脊髄血再灌流後に障害局所では、脊髄前角の神経細胞のアポトーシスが認められる。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド投与は、神経細胞のアポトーシスを有意に抑制した。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドによるアポトーシス抑制は、動物をSB366791、CGRP8-37、および抗IGF-I抗体で前処置すると認められなくなった。IGF-I投与は、虚血性脊髄障害モデルにおける運動麻痺、炎症、および脊髄前角のアポトーシスを抑制した。これらの事実は、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチドは、虚血性脊髄障害局所のCGRP含有ニューロンを刺激し、IGF-Iの産生を促進することで、炎症、および神経細胞のアポトーシスを抑制することで、運動麻痺を改善する可能性を示す。
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