2010 Fiscal Year Annual Research Report
胸(腹)部大動脈瘤手術における持続的脊髄冷却法による脊髄保護効果の臨床的研究
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20591657
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| Research Institution | Keio University |
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Principal Investigator |
志水 秀行 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50226247)
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| Keywords | 胸部大動脈瘤 / 胸腹部大動脈瘤 / 対麻痺 / 合併症 / 低体温 / 脊髄障害 / 硬膜外カテーテル |
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| Research Abstract |
胸部大動脈瘤および胸腹部大動脈瘤手術の深刻な合併症である脊髄虚血障害の発生頻度を低下させることを目指して、独自に開発した脊髄冷却用硬膜外カテーテルを用い大動脈瘤手術中の脊髄局所冷却を行い、その安全性と有用性を検証した。本法の有用性に関し、われわれは動物実験において既に有用性を示しており、本研究はこれを臨床応用したものである。平成20年度において待機的胸部大動脈瘤5例・胸腹部大動脈瘤1例、平成21年度において胸部大動脈瘤3例、胸腹部大動脈瘤5例に本法を用い、本法の安全性を確認した。そこで、平成22年度は、より重症な胸腹部大動脈瘤を主な対象として、より積極的に本法を用いた。胸腹部大動脈瘤9例および胸部大動脈瘤2例に対し、事前に本臨床研究の意義、趣旨を説明し、説明文に基づく試験参加への同意を得た上で、手術前日に局所麻酔下に背部から14Gの硬膜外麻酔用の穿刺針を穿刺し硬膜外腔に脊髄冷却用カテーテルを留置した。手術当日に冷却カテーテルを外部の回路(循環ポンプと熱交換器を直列につないだもの)と接続し、術中、回路内に冷却された滅菌生理的食塩水を循環させ、大動脈遮断中の脊髄温を25-30℃程度に局所冷却した。術中、運動神経誘発電位MEP(Motor evoked potentials)を用い脊髄の状態を電気生理学的に確認した。手術室退室前に、持続的脊髄冷却カテーテルと外部回路との接続を取り外し、手術後状態が安定した時点(手術の翌日あるいは翌々同)にカテーテルを抜去した。なお、脳脊髄液ドレナージ法の併用を希望する症例に対しては、これを併用した。本法とは無関係の原因(多発塞栓)によって1例が在院死亡したが、ほかのすべての症例において術後脊髄障害を含む重篤な合併症の発生はなかった。これらの研究成果は、学術集会および招待講演の場で報告した。
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