2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性胸膜中皮腫における肺内アスベスト濃度と遺伝子異常の関連について
Project/Area Number |
20591665
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横井 香平 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (60378007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇佐美 範恭 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30378179)
谷口 哲郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助手 (20378186)
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / アスベスト / 遺伝子変異 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / 肺内アスベスト濃度 |
Research Abstract |
1.悪性胸膜中皮腫細胞株の樹立とその細胞生物学的解析 (1) 細胞株樹立:悪性胸膜中皮腫症例12例から検体を採取し細胞株を樹立し得た。 (2) アレイCGHによる網羅的解析:アレイCGH解析によりいくつかの興味深い染色体不均衡領域を認めた。欠失領域は、1p36.33、1p36.1、1p21.3、3p21.3、4q22、4q34-q ter、6q25、9p21.3、10p、13q33.2、14q32.13、18q、22qで、増幅領域が1q、5p、7p、8q24、20pであった。特にほぼ全例でp16^<INK4a>/p14^<ARF>を含んだ9p21領域の欠失を認めた。p16^<INK4a>/p14^<ARF>は多くの悪性腫瘍において高頻度に不活化変異を受ける癌抑制遺伝子として知られており、悪性胸膜中皮腫においても他の癌腫と同様に発癌課程において重要なステップの1つとなっている可能性が示唆された。 2.悪性胸膜中皮腫切除症例における肺内アスベスト濃度測定 (1) 分析電子顕微鏡による肺内アスベスト線維の種類同定と濃度測定:胸膜肺全摘術により切除された悪性胸膜中皮腫6例の腫瘍内および肺内アスベスト濃度とその種類について分析電子顕微鏡で検索した。その結果、腫瘍内にはアスベストはほとんど含まれていないことが確認できた。また、肺内アスベスト濃度の検討により、発症リスクが高いと言われている青石綿を多数認めた症例がある一方、アスベスト濃度が職業的暴露の無い標準的な都市生活者の平均値と同程度の症例も認めた。今後さらに、このアスベスト濃度と遺伝子変異との関連を検討していく予定である。
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Research Products
(2 results)