2010 Fiscal Year Annual Research Report
HIF-1を標的とした癌分子標的治療法の開発に関する基礎研究
Project/Area Number |
20591666
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
寺本 晃治 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (10452244)
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Keywords | 呼吸器外科学 / 腫瘍免疫学 / 腫瘍微小環境 / 低酸素応答 / HIF-1 |
Research Abstract |
腫瘍組織における慢性的な低酸素状態と担癌宿主の抗腫瘍免疫応答の低下との関連について、特に低酸素状態において発現誘導される転写因子Hypoxia-inducible factor-1(HIF-1)と抗腫瘍免疫応答の低下を誘導するサイトカインTransforming growth factor-beta(TGF-β)との関連についてマウスモデルで検討した。前年度まではHIF-1阻害剤としてYC-1を用いたが、より選択的にはHIF-1を阻害するためにHIF-1 siRNAを用いてE.G7(マウスリンパ腫細胞株)担癌マウスモデルで検討した。 E.G7(マウスリンパ腫細胞株)を皮下移植した担癌マウスモデルにおいて、腫瘍組織内にHIF-1 siRNAを投与して変化する抗腫瘍免疫応答について検討した。その結果、HIF-1 siRNAの腫瘍内投与により腫瘍組織におけるHIF-1αとTGF-β1の蛋白レベルおよびmRNAレベルでの発現が低下した。また、腫瘍所属リンパ節内の制御性T細胞やMyeloid-derived suppressor cell(MDSC)の数が減少した。さらに、腫瘍所属リンパ節や脾臓において腫瘍抗原特異的にIFN-γを産生するCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の割合が増加し、脾臓中のNatural Killer活性が上昇した。HIF-1 siRNAの腫瘍内投与により腫瘍の増殖は著明に抑制された。腫瘍組織内のHIF-1の阻害によりTGF-β1の発現が低下し腫瘍組織および腫瘍所属リンパ節での抑制性の免疫細胞が減少したことで、全身性に抗腫瘍免疫応答が増強し腫瘍の増殖抑制につながったと考えられる。
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