2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591671
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大藤 剛宏 Okayama University, 大学病院, 講師 (40452578)
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Keywords | 肺移植 / 心停止下臓器提供 / ドナー / 心停止ドナー / 人工心肺 / 体外循環 / 肺機能 / 肺保存 |
Research Abstract |
1. 研究の背景:長時間体外において人工心肺回路での肺灌流を行うとグラフト肺の障害が起こりうるが,その機序については十分に検討されていない。 2. 研究の目的:前年度の研究で、人工心肺回路で肺灌流を行った際の灌流液中の炎症性サイトカインの有意な上昇を認めたため、サイトカインを含む老廃物質吸着能の高いPMMA膜を用いたCHDFの有用性について検討した。 3. 研究の内容,方法:実際にダメージを受けた肺(2時間温虚血)を用い、その蘇生効果を検証した。平成20年度の実験の結果特定されたパラメーターに対し、肺の代謝により枯渇した物質(例:グルコース・インスリン等)を還流液中に投与した上で、サイトカインを含む老廃物質吸着能の高いPMMA膜を用いたCHDF(血液吸着群)及び還流液交換(還流液交換群)を行うことで、肺蘇生に必要な還流環境を整え、再還流6時間後に片肺移植し移植後肺機能を測定し、従来のEx-vivo evaluation用の回路(コントロール群)と比較検討した。3群はランダムに割り当て実験した。 4. 研究の結果:PMMA膜を用いたCHDF(血液吸着群)では、回路還流液および肺実質中のサイトカインは有意に減少した。そして、膜の吸着能力の限界となる3時間を超えると徐々にサイトカインは上昇した。片肺移植による肺機能測定では、血液吸着群ではコント「ロール群に比べ良好な傾向を示したが,統計学的有意差は認めなかった。 本研究から、人工心肺回路で肺灌流を行う際、灌流液中の炎症性サイトカインを吸着膜にて抑制することが可能であり、肺障害軽減に有用であるが、還流中はサイトカイン以外にも肺機能に影響する因子が存在ことを示唆した。体外循環による肺機能測定、肺蘇生が可能になれば心停止後のドナーからの移植が可能となり、臓器不足解消に対し大きな貢献となる。
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Research Products
(2 results)