2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591674
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
土谷 智史 長崎大学, 病院, 講師 (30437884)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永安 武 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80284686)
下川 功 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70187475)
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Keywords | アディポネクチン / 肺気腫 / 肺癌 / リポポリサッカライド / 小胞体ストレス / マイクロアレイ |
Research Abstract |
アディポネクチン(Adiponectin)は、脂肪より産生される血清タンパク質で、現在までに抗糖尿病、抗動脈硬化等が報告されている。ヒト由来アディポネクチンを高発現しているトランスジェニック(Tg)マウスが、摂食量に関係なく寿命を延長させ、腫瘍の発生率が低く、抗炎症作用もあることが分かっている。肺において、1)Tgマウスでは、アディポネクチンが実際に癌や線維化に対して抑制的に働くのか、病理組織学的に明らかにする。2)どのような機序で発癌や癌の発育を抑えるのか、また線維化を抑制するのか、採取した組織より遺伝子、蛋白を抽出し、網羅的解析を行う。3)細胞培養系を使用し、網羅的解析より予想されるシグナル伝達経路が、実際に動いているのか証明する。を計画した。 まず、エラスターゼ吸入モデルとVEGF受容体阻害モデルの2つの肺気腫誘発モデルを作成し、Tgマウスと野生型の反応の形態学的変化を比較したが、差はみられなかった。また、LPS(lipopolysaccaride)投与による急性肺障害モデルでは、Tgマウスで有意に生存率が改善し、分泌蛋白作成の場である小胞体へのストレスが低下していたが、病理学的有意差はみられなかった。 肺癌に対する効果の実験については、雄Tgマウス(n=15~20)と野生型マウス(n=15~20)を無作為にregular diet (RD)、およびhigh fat diet (HFD)の2群に分けて約20週間飼育し、皮下にLewis肺癌細胞株(1.5×10^5個)を注入した。投与後2週間後に屠殺、腫瘍を摘出したところ、予想に反してRD群のTgマウスの腫瘍だけが有意に増大した。この原因として、Tgマウスでは脂肪組織における老化シグナルの著明な低下と炎症性サイトカインやアポトーシス関連遺伝子の発現低下が認められたこと関連があるかもしれない。現在マイクロアレイによって発現解析を行っている。以上を3年で行い、3)の実験には到達できなかった。
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Research Products
(1 results)