2009 Fiscal Year Annual Research Report
数学モデルを用いた頸動脈狭窄症の治療適応に関する検討
Project/Area Number |
20591682
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
好本 裕平 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 教授 (50242061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岐 智仁 群馬大学, 医学部, 医員 (70400760)
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Keywords | 頚動脈内膜剥離術 / マルコフモデル |
Research Abstract |
マルコフモデルは比較的慢性の経過をとる疾患を対象とした数学モデルで、今回は頚動脈内膜剥離術(CEA)の効果の定量評価を目的として、内頚動脈狭窄患者とCEAに関するマルコフモデルを作成した。設定した4つの健康状態間の移行確率を代表的な無作為化比較試験などから推定した。各年齢での死亡率は厚労省が発表したデータから得た回帰式(年齢xでの死亡率:P'(x)=e^<-10.58+0.095x>)を用いたが、心血管系のリスクを有する頚動脈狭窄患者の死亡率はこの回帰式にcomorbidity index(c)を乗じることでmodifyした(p(x)=c・e^<-10.58+0.095x>)。条件設定は、後遺症を残した状態の生活の質調整年(quality-adjusted life year : QALY)を0.6、割引率を年間3%とした。CEAの効果はCEAを受けた場合と受けなかった場合の予想されるQALY値の差(QALY gain)として表現した。 70才の無症候性頚動脈狭窄患者に関する基礎解析では、CEAの効果は極めて小さかった(0.07 QALY)。しかも、年齢、手術リスク、comorbidity indexが増すとその効果は更に減少ししばしばマイナスとなった。一方、70才の症候性頚動脈狭窄に対するCEAの効果は比較的大きく(0.31 QALY)、この有効性は、年齢、手術リスク、comorbidity indexなどが増した状況においても維持された。様々な仮定値の不確実性の検討するための感受性分析では、無症候性狭窄においては梗塞発生率、QALY値などの仮定値が変化するとQALY gainがマイナスになることが示された。
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Research Products
(2 results)