2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591691
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
西尾 実 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (40315891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
間瀬 光人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (60238920)
山田 和雄 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (90150341)
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Keywords | 髄液漏出 / L-PDGS / 脳脊髄液減少症 / 低髄液圧症候群 |
Research Abstract |
名古屋市立大学病院脳神経外科外来に脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)特殊外来を設置。全国から集まる起立性頭痛を伴っためまい、ふらつき、耳鳴り、全身倦怠感などの症状を呈する患者を診察した。このうち起立性変化を伴って、脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)による髄液漏出が疑われる患者に対し、その評価を目的とした脳槽シンチグラフィーを施行した。 脳槽シンチグラフィー施行時に髄液を採取し-85度にて凍結保存した。また、髄液採取直前、採取3時間後、採取6時間後に静脈血を採取しこれを遠心分離器にて3000回転/分で10分間遠沈し、その血清成分を-85度にて凍結保存した。 当研究の期間中に脳槽シンチグラフィーを施行し同意を得た上で問題なくサンプルを採取し得た患者のうち、髄液漏出患者6名、髄液漏出の無い患者6名の髄液および血清サンプルについてリポカイン型プロスタグランジンD合成酵素lipocalin-type prostaglandin D synthase(=L-PDGS)を測定した。L-PGDSの測定には、ヒト尿中から精製したL-PGDSをスタンダードにしてサンドイッチELISA法を用いた。 髄液漏出患者群、髄液漏出の無い患者群間で血中L-PDGS値および髄液中L-PDGS値に対する血清中L-PDGS値の比を用いて比較したがいずれにおいても有意な差を認めなかった。また髄液漏出による低髄液圧患者群、髄液漏出正常圧患者群間でも有意な差を認めなかった。研究中、細い穿刺を使用して細心の注意を払っても穿刺部からの髄液漏出が発生してしまう症例があることを確認したが、穿刺部漏出が起こってもL-PDGSの血中濃度には優位な変化は起こらなかった。 以上の点よりL-PDGSは微細な髄液漏出があっても直ちに血中濃度に反映しないため髄液漏出患者の指標とすることは難しいと考えられた。
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