2008 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖修飾シロリムスリポソームを用いた血管形成術後再狭窄予防の研究
Project/Area Number |
20591700
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鶴嶋 英夫 National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, ナノテクノロジー研究部門, 主任研究員 (50315470)
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Keywords | 糖鎖-レクチン蛋白質親和性 / drug delivery system / active targeting DDS / ドキソルビシン / リポソーム / 血管狭窄 / 血管形成術後再狭窄 / 血管狭窄予防 |
Research Abstract |
リポソーム作製時に平滑筋細胞増殖抑薬剤の内包化を試みたところ、ドキソルビシン内包リポソーム(粒径100~200nm)を比較的容易に作ることができた。そこで糖鎖修飾ドキソルビシン内包リポソーム(Dox-Lipo-SLX)を作製し、この粒子の血管狭窄予防性能を確認した。これと平行して他の薬剤のリポソームへの内包化も行った。 Dox-Lipo-SLXはin vitroでセレクチン蛋白質を発現した血管平滑筋細胞に良く集積することが判明した。ラットを用いてバルーンによる血管拡張後狭窄誘発モデルを作製、血管拡張部にセレクチン蛋白質が発現することを証明した。このモデルにDox-Lipo-SLXを静脈注射するとドキソルビシンは血管拡張部に集積し、正常血管および他の方法でドキソルビシンを投与した場合の血管拡張部には集積が観られなかった。治療実験を施行するとDox-Lipo-SLX治療群では血管狭窄が軽度であり、他の比較群では強い狭窄が観察された。以上の結果はDox-Lipo-SLXのdrug delivery system(DDS)としての高いactive targeting性能を示すものであり、また従来の方法とは全く異なるactive targeting DDSを用いた血管狭窄予防システムの登場を予感させるものであった(論文1報、日本脳卒中学会ではシンポジウムで成果発表、医学新聞より取材を受けた)。他薬剤のリポソーム内包化は現在進行中である。来年度は、内包薬剤をドキソルビシンからより有効性が高い薬剤(シロリムスなど)に変更し、血管狭窄予防効果を上げることが期待される。
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