2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性神経膠腫の分子標的治療に対する耐性獲得メカニズムの解明と新たな治療戦略の構築
Project/Area Number |
20591706
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武笠 晃丈 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 特任講師 (90463869)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 実 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50332581)
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Keywords | 悪性神経膠腫 / 上皮性増殖因子受容体 / 分子標的治療 / 薬剤耐性 / 腫瘍幹細胞 |
Research Abstract |
本研究は、これまでに同定した悪性神経膠腫に対する治療抵抗性に関与する遺伝子群Substitute for EGFR* Expression(SE*Es)のなかより、鍵となっている分子を特定することを目的としている。まず、これらの遺伝子の発現が、既知の脳腫瘍細胞株、ヒト悪性神経膠腫、脳腫瘍幹細胞において上昇しているかを、定量的PCRなどの方法にて確認するため、これらの樹立および遺伝子解析による基本的な分類を行った。臨床検体においては、予後や治療反応性の指標である、IDH遺伝子の変異、染色体1p19qのLOH(ヘテロ接合性の喪失)、p53遺伝子の変異の同定、MGMT遺伝子プロモーターのメチル化の解析などを行い、実際の患者の治療経過・予後の情報などの収集するとともに統計解析を実施した。また、治療抵抗性に注目するにあたり、近年その関与が強く示唆されている脳腫瘍幹細胞におけるSE*Es遺伝子の働きが重要であることが予測され、実際preliminaryなデータからは、特定のSE*Es遺伝子は通常の細胞株では低発現なのに対し、脳腫瘍幹細胞では高発現であることを確認した。そこで、より多くの検体で確認するため臨床手術検体からの脳腫瘍幹細胞の樹立を順次施行した。実際は、報告の多い増殖因子存在下の浮遊培養系を用いると共に、その後のアッセイを容易にするため、接着培養系を用いた脳腫瘍幹細胞の樹立にも努めた。その結果、現在までに今後の解析に有用な脳腫瘍幹細胞株の候補を約10株程度手に入れており、さらなる性質解析に移る予定である。また、SE*Es遺伝子群の1つであるSE*E-1を検討している際に、これ含む染色体の一部分が、ヒト悪性神経膠腫において著明に増幅しているという知見をアレイCGHのデータより得た。そこで、染色体上の本遺伝子の増幅を定量的PCR法にて、多数の臨床検体を用いて検証した。
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