2008 Fiscal Year Annual Research Report
ポストゲノム時代における良性脳腫瘍のエピジェネティクス・バイオマーカーの開発
Project/Area Number |
20591710
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
齊藤 清 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (00240804)
|
Keywords | 髄膜腫 / エピジェネティクス / マイクロアレイ / 動物モデル / DNAメチル化 |
Research Abstract |
本研究ではポストシークエンスを向かえた現在、ゲノム解析を踏まえ、良性脳腫瘍、特に髄膜腫における包括的なエピジェネティクス解析をおこない、腫瘍の本質的な解明に結びつけることが目的である。本年度は、下記の研究をおこなった。 1. 髄膜腫には進行が緩徐で病理学的にWHO分類Grade 1と、進行が早く再発を来しやすいWHO分類Grade 2,3の悪性髄膜腫がある。過去に当施設で手術摘出されてバンク化されているデータセットで性別、年齢、発生部位をマッチさせた良性髄膜腫5例と悪性髄膜腫5例を選び、DNA, RNAを抽出した。 2. これまで十分習熟しているmethylation-specific PCR法により、エピジェネティクスの変化が起こっていることを認めた。がん抑制遺伝子のひとつであるp73の遺伝子プロモーターのメチル化の異常を悪性髄膜腫に多く認め、p73の発現が不活化されていることがわかった。 3. DNAメチル化に代表されるエピジェネティクス変化が遺伝子発現に関与するかどうかを検討するため、DNAをバイサルファイトで処理をし、網羅的なエピジェネティクスアレイの解析準備を行った。 4. これまで髄膜腫の動物モデルを確立させた報告例は少なく、悪性髄膜腫の細胞株を入手し、ヌードマウス硬膜下に髄膜腫細胞を移植し、モデルを作成した。 5. 脳腫瘍において、エピジェネティクスの機構にはDNAメチル化とヒストン修飾の両者が重要であり、それぞれを制御する薬剤、5-aza-deoxycytidineとバルプロ酸を併用するとエピジェネティクスにより不活化されている遺伝子の再発現が相乗的に起こる。 これらの成果により、髄膜腫の起源を解明することが期待され、さらには新しい治療法を展開できる意義深いものになると思われる。
|
Research Products
(11 results)
-
-
-
-
-
[Journal Article] The DNA demethylating agent 5-aza-2'-deoxycytidine activates NY-ESO-1 antigenicity in orthotopic human glioma.2008
Author(s)
Natsume A, Wakabayashi T, Tsujimura K, Shimato S, Ito M, Kuzushima K, Kondo Y, Sekido Y, Kawatsura H, Narita Y, Yoshida J
-
Journal Title
Int J Cancer. 122
Pages: 2542-2553
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-