2010 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子組換え骨髄幹細胞の静脈内移植による脊髄損傷治療の基礎的研究
Project/Area Number |
20591717
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
野中 雅 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60180759)
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Keywords | 移植・再生医療 / 再生医学 / 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本計画は、脊髄損傷の急性期から慢性期に対する、骨髄幹細胞の静脈内投与による治療効果を検証することを主目的とするものである。 昨年度までに、脊髄損傷モデルラットに対して、骨髄幹細胞の静脈内投与の治療効果の検討を進めた結果、細胞投与時期は脊髄損傷後、可及的早期に投与する方がより治療効果が高いが、ある程度経過した時期であっても治療効果は見込まれるという予備実験結果を得ていた。また、細胞治療によって損傷部位のBDNF濃度が高まることが判明したことより、急性期の治療メカニズムに神経保護作用が強く関与することが示唆されていた。 本年度は、これらのデータをさらに集積・集計すると同時に、脊髄損傷局所における組織学的解析を詳細に行った。すなわち、脊髄損傷後は空洞形成が起こることが広く知られているが、細胞治療による抑制的に作用することが判明した。さらに、移植細胞が損傷部局所において再生作用を発揮しているかどうかも解析した結果、5-HT陽性神経細胞数が局所で増加していることが判明した。 また、細胞治療により損傷局所のBDNF濃度上昇が確認されているが、移植する時期の違いにより、この神経栄養作用が治療効果にどのように結びついているかを検証した結果、損傷直後に移植した場合、局所BDNF濃度はかなり上昇するが、損傷直後数週間後に移植した場合でも、局所BDNF濃度上昇が少なからず見られた。 行動学的な解析を詳細に行った結果、予備実験で得られていた結果と同様に、やはり治療効果は脊髄損傷直後に移植すると最大であり、その後、時間の経過とともに治療効果は弱まってくるものの、損傷後1ヶ月を経過しても、移植治療効果が少なからず見られたことより、実用化への期待が益々高まった。 以上のように、補助金は補助条件に従って、非常に有効に使用されている。
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Research Products
(2 results)