2008 Fiscal Year Annual Research Report
てんかんによって惹起される海馬神経細胞新生は、てんかん原生となるか
Project/Area Number |
20591722
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
中島 円 Juntendo University, 医学部, 助教 (50317450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 欣也 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (80164581)
望月 秀樹 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90230044)
新井 一 順天堂大学, 医学部, 教授 (70167229)
石 龍徳 東北大学, 大学院・医学系研究科附属創生応用医学研究センター, 准教授 (20175417)
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Keywords | てんかん原生 / 海馬 / 神経新生細胞 / パッチクランプ法 / 神経生理学 |
Research Abstract |
てんかん発作に誘発される神経細胞の新生と成熟についての検討 生後5週のマウスに対しピロカルピン腹腔内注入によりてんかんを誘発した。てんかん重積後24時間後に新生、分化を生じている神経細胞にレトロウィルスをベクターとしてGreen florescent protein (GFP)遺伝子を海馬歯状回に導入した。てんかん重責誘発後7-10日の観察では、てんかん発作によって神経細胞新生が誘発され、GFP陽性細胞は数多く認められるが、その大半が形も成熟した顆粒細胞より小さく、周囲への突起の伸長は認めず支持されていないため遊走し易く、また未熟で脆弱な細胞であった。しかし数少ないが、それらの脆弱な細胞に比較し大きく細胞膜もしっかりとした新生神経細胞が見られる。パッチクランプ法による細胞内電位測定を行うと抵抗値は高く、成熟した顆粒細胞に比較して少ないが発火する。てんかん重責後14日-17日では、小さく脆弱なGFP陽性細胞は随分とその数を減らし、apoptosisを起こしているように思われた。残存するGFP陽性細胞のなかでは周囲に突起を伸展させつつある成熟度の増した細胞があり、やはりコントロールの顆粒細胞に比べて強い発火パターンを呈することはなかった。てんかん重責後21-24日では、小さく脆弱な細胞はほとんど消失し、極少数のGFP陽性細胞を認めるのみであった。てんかん重責によって誘発された新生神経細胞は大半が未熟で正常の成熟過程にのれず、脱落していく。新生された神経細胞のうち極わずかな細胞のみが成熟過程へ進んでいく。てんかん重責により誘発されたこれらの細胞は決して異常な発火パターンを呈することは無く、正常な新生神経細胞とほぼ同様の発火パターンを呈した。てんかん原生という見地からすれば、新生された細胞が異常な発火パターンをもっててんかんの原因となるという可能性は少ないことがこれまでの研究結果から明らかとなった。
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Research Products
(5 results)