2009 Fiscal Year Annual Research Report
慢性電気刺激により誘導される中枢神経系の可塑的変化に関する組織学的検討
Project/Area Number |
20591725
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大島 秀規 Nihon University, 医学部, 講師 (20328735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越永 守道 日本大学, 医学部, 兼任講師 (30267067)
山下 晶子 日本大学, 医学部, 講師 (30246889)
深谷 親 日本大学, 医学部, 准教授 (50287637)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
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Keywords | 神経刺激 / 可塑性 / 中枢神経 / アストロサイト / BDNF |
Research Abstract |
慢性的な中枢神経系の電気刺激の効果発現メカニズムには、中枢神経の可塑的変化が関与していると推測されているが、組織学的なアプローチによる電気刺激のメカニズムに関する報告は極めて少ないのが現状である。 我々は、当該年度に実施した研究において、コントロールのラットに比較して、刺激ラットではニューロンのみならずc-fos陽性のアストロサイト(GFAP陽性細胞)も有意(p>0.05)に増加することを確認した。また、アストロサイトの平均面積と細胞数は、刺激個体においてコントロールに比較して有意(p<0.05)に増加していた。これらのアストロサイトの変化は、ヒトの臨床的な慢性電気刺激により引き起こされる脳のアストロサイトの変化に類似しており、慢性電気刺激が脳の可塑を引き起こす際に、ニューロンだけでなくアストロサイトも重要な役割を担っていることを示唆していると考えられた。刺激によって出現する大型アストロサイトの生理学的意義を明確にする端緒として、グルタミン酸トランスポーター(GLAST、GLT-1)の発現の変化を検討したが、形態学的には有意な変化が認められなかった。 運動・感覚皮質慢性刺激ラットにおいて、刺激部位(sensori-motor cortex)直下のニューロンのBDNF蛋白の細胞内局在の変化(細胞体から樹状突起への比重の変化)に関しては、当該年度の研究で8および12週においても継続していることが組織学的に確認された。BDNFの産生亢進の有無に関して、ELISA法によりBDNF蛋白発現量の定量を行なっているが、その増加量は軽度であり、次年度にサンプル数を増やし再検討する予定である。 もう一つの課題であるDBSモデルに関しては、試作DBS電極の耐用度が8週まで慢性使用は可能であることが確認できており、皮質刺激モデルと並行して組織学的変化を検討している。
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