2010 Fiscal Year Annual Research Report
慢性電気刺激により誘導される中枢神経系の可塑的変化に関する組織学的検討
Project/Area Number |
20591725
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大島 秀規 日本大学, 医学部, 講師 (20328735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 晶子 日本大学, 医学部, 講師 (30246889)
深谷 親 日本大学, 医学部, 准教授 (50287637)
越永 守道 日本大学, 医学部, 兼任講師 (30267067)
片山 容一 日本大学, 医学部, 教授 (00125048)
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Keywords | 神経刺激 / 大脳皮質 / アストロサイト |
Research Abstract |
大脳皮質運動野の慢性刺激は、難治性の神経障害性痔痛の治療として臨床応用されており、近年ではパーキンソン病や脳卒中後の運動障害・不随意運動などに対する有効性が報告され、cortical-neuromodulationという新たな分野を確立しつつある。しかしながらその効果発現のメカニズムは解明されていない。さらには、この皮質刺激の効果発現には中枢神経の可塑的変化が関与していると推測されているが、そのバックグラウンドとなる基礎的研究は極めて少ないのが現状である。 我々は、前年度に実施した研究において、コントロールのラットに比較して、刺激ラットではニューロンのみならずc-fos陽性のアストロサイト(GFAP陽性細胞)も有意(p>0.05)に増加することを確認した。また、アストロサイトの平均面積と細胞数は、刺激個体においてコントロールに比較して有意(p<0.05)に増加していた。4および8週間の慢性刺激では、最大断面積100μm2以上の巨大アストロサイトも認められた。これらのアストロサイトの変化は、ヒトの臨床的な慢性電気刺激により引き起こされる脳のアストロサイトの変化に類似しており、慢性電気刺激が脳の可塑を引き起こす際に、ニューロンだけでなくアストロサイトも重要な役割を担っていることを示唆していると考えられた。 本研究期間で行われた研究では、ニューロンの変化はアストロサイトに比較して僅少であった。BDNFの細胞内局在の変化(細胞体から樹状突起へのシフト)およびその受容体蛋白であるTrk-Bの発現増加に関しては明確となったが、BDNFの蛋白発現量の定量ではコントロールに比較して有意な変化は捉えられなかった。 もう一つの課題であるDBSモデルにおいても、刺激深部脳構造の投射部位においてアストロサイトの形態変化がとらえられ、同結果をまとめる段階にある。
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Research Products
(2 results)