2008 Fiscal Year Annual Research Report
下垂体腺腫の増殖におけるSDF-1の役割に関する分子形態学的研究
Project/Area Number |
20591726
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
吉田 大蔵 Nippon Medical School, 医学部, 准教授 (30210701)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺本 明 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50133070)
金 景成 日本医科大学, 医学部, 助教 (30339387)
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Keywords | 下垂体腺腫 / SDF-1 / 細胞浸潤 / 血管新生 / CXCR7 / tissue microarray / cDNA microarray / siRNA |
Research Abstract |
今回我々は近年報告された新しい腫瘍浸潤と血管新生因子であるstromal derived-factor 1に着目し、下垂体腺腫細胞の臨床例での発現傾向と、in vitroで細胞内signal cascadeの解明を目的として研究を行った。その中で今年度はSDF-1のレセプターのうち、CXCR7に着目して下記の研究を行った。 パラフィン包埋した下垂体腺腫62例の組織からtissue microarrayを作成した。Mouse pituitary adenoma cell line(AtT-20)をコントロールとして、mouse recombinant SDF-1を添加した細胞、CXCR7をターゲットとしたshRNAをtransfectしてgene scilencingした細胞、さらにそのgene scilencingした細胞にSDF-1を添加した細胞それぞれからtotal RNAを抽出して、Cy3,Cy5の2色法でcDNA arrayでmRNAの発現を定量的に比較解析した(GenSpring GX)。CXCR7はGH-omaとPRL-omaに有意に発現が強かった。細胞増殖、cell cycleに関与する細胞内シグナルをBub1を介して制御していた。一方アミノ酸代謝をAsnsを介し、ligase activityをAsnsを介して抑制していた。 我々は別の研究から、下垂体腺腫実質細胞がSDF-1を分泌していることを報告しているが、以上の結果から下垂体腺腫細胞にはSDF-1/CXCR7を介したautocrine signalingが存在することが明らかとなった。これは従来報告されてきた虚血に陥った血管内皮細胞から分泌されたSDF-1が骨髄の血管内皮前駆細胞を虚血部位に呼び寄せるhoming effectによって血管新生を制御する機構とは別に下垂体腺腫の成長や細胞浸潤に関わっている可能性を示唆している点で新しい展開が期待できると思われた。
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