2008 Fiscal Year Annual Research Report
NMRによるメタボロミクス(メタボローム)解析は脳腫瘍の悪性転化を予測する
Project/Area Number |
20591727
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
高橋 弘 Nippon Medical School, 医学部, 教授 (30150741)
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Keywords | 髄膜腫 / NMR / 悪性転化 / メタボロミクス / メタボローム / 代謝物プロファイル |
Research Abstract |
平成20年は、脳腫瘍の中の髄膜腫を対象とした。髄膜腫はその悪性度に応じてWHO分類でグレードIからIIIと分かれているが、各々の代謝物プロファイリングを検討し、さらに、グレードIの中で臨床的に悪性経過を辿る群の代謝物プロファイリングの特徴を抽出することを目的とした。その目的のために、脳腫瘍手術で摘出された髄膜腫の一部組織から脂質・水溶性物質の抽出、分離を行った。 1.検体の採取:抽出した検体は直ちに液体窒素中で凍結し、-80℃に保存。 2.凍結粉砕処理:クライオプレスを用いて、液体窒素中で凍結粉砕処理を行い均一な粉末状とした。 3.クロロフォルム・メタノール・水による抽出操作:粉末状にした検体に約20倍容のクロロフォルム・メタノール溶液(2:1)を加えて十分に攪拌後、振とう機にて抽出。さらに、1/4容の水を加えて十分に攪拌後、再び振とう機を用いて抽出。4℃で12時間以上静置後、パスツールピペットを用いてクロロホルム層(下層)と水・メタノール層(上層)を分取。 4.水・メタノール層の処理(水溶性代謝物含有層):-80℃で前凍結後、凍結乾燥して軽水を完全に除去し、残渣を重水に溶解させて水溶性物質測定試料を作成。 上記の研究の結果、グレードIの髄膜腫とグレードII、IIIの髄膜腫を代謝物プロファイリングで明瞭に分別することが可能であった。さらに、グレードIの髄膜腫でありながら臨床的に再発を繰り返し悪性転化していく群が、代謝物プロファイリング上は初発時からグレードII、IIIのグループに極めて近接して分布することが判明した。従って、平成20年はグレードIからII、IIIへと悪性転化する髄膜腫を初発時から鑑別できる可能性を見出すことに成功した。
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