2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591730
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Research Institution | Miyagi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
山下 洋二 Miyagi Cancer Center Research Institute, 生化学部, 特任研究員 (30420045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 昌幸 東京慈恵会医科大学, 医学部, 准教授 (20220577)
園田 順彦 東北大学, 病院, 講師 (90302140)
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Keywords | 脳腫瘍学 / 化学療法 |
Research Abstract |
昨年度は高分子ミセルに内包する薬剤候補として、現在悪性神経膠腫治療の中心となっているアルキル化剤であるACNU、BCNUおよびテモゾロミドに注目し、高分子ミセルへの封入を試みた。しかしながらACNUは封入効率が悪く、完成度の高い高分子ミセル抗癌剤の調製に至らなかった。 悪性神経膠腫の基礎研究を含めてがん研究においては、EGFRをはじめとするプロテインキナーゼファミリーを中心に解析が進められ、その対極にあるプロテインホスファターゼに関しては研究が遅れていたが、ヒトゲノムにおける100を越えるプロテインホスファターゼの分子生物学的解析により、それらの生理的な機能の解明が進んできた。最近では、いくつかの癌においてその発生にプロテインホスファターゼが関与することを示す知見が報告され、これらを標的とした治療の開発が進んでいる。 そこで本年度は、悪性神経膠腫治療の新たな分子標的を同定する目的で、神経膠腫の手術摘出検体におけるプロテインホスファターゼファミリーに属する遺伝子の発現異常の有無をリアルタイムPCRの手法を用いてスクリーニングし、その中で発現量が顕著に上昇しているものの一つとして、細胞周期を司るCDC25Aが同定された。CDC25A発現量と細胞増殖の指標であるKi-67ラベリングインデックスの間には強い相関関係が認められた。CDC25A発現量の上昇は神経膠腫由来の各種樹立細胞株においても認められ、そのうちU87MG細胞株とA172細胞株を用いて、CDC25A阻害剤とsiRNA処理による影響を解析した。それぞれの処理により、両細胞株において細胞増殖の阻害と細胞死の誘導が認められ、CDC25Aが悪性神経膠腫治療の新たな分子標的であることが示唆された。
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