2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の抗癌剤抵抗性に及ぼす腫瘍内微小環境の関与の解析とその治療への応用
Project/Area Number |
20591731
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹永 啓三 Shimane University, 医学部, 准教授 (80260256)
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Keywords | 脳腫瘍 / 薬剤抵抗性 / 微小環境 / アストロサイト |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍の抗癌剤抵抗性に及ぼす腫瘍内微小環境(アストロサイトとの相互作用、低酸素)の関与を検討し、治療に応用する情報を得ることを目的とする。まず、ラット脳白質及び灰白質からのアストロサイトの分離とEGFP発現ラットC6グリオーマ細胞及びヒトグリオーマU837-MG細胞の樹立を行い、共培養系を確立した。アストロサイトの確認はGFAP染色により行った。この共培養系を用い、抗癌剤Temozolomide (TMZ), ACNU, BCNU, VP-16, Vincristine, Paclitaxel及びCisplatinの細胞増殖抑制作用を単独培養の場合と比較した。その結果、共培養系においてグリオーマ細胞に対するTMZの効果が減弱することが判った。他の抗癌剤の効果は単独培養系と共培養系でほぼ同じであった。共培養系におけるTMZの効果の減弱は低酸素下(3%酸素濃度)でも認められた。この現象に、アストロサイトとグリオーマ細胞の直接接着が必要かどうかを検討するために、ギャップ結合阻害剤α-Glycyrrhetinicacid及びCarbenoxoloneとインテグリン阻害剤Echistatinの効果を調べた。その結果、これらの薬剤はTMZ感受性に何らの作用も示さないことが判った。一方、トランスウェルチャンバーを用い、両者を隔てて培養する系で検討したところ、TMZの細胞増殖抑制作用の減弱が認められた。これらの結果から、共培養系では、互いの接着非依存性にTMZの効果が減弱していることが判った。アストロサイトが分泌する因子がグリオーマ細胞に作用して薬剤抵抗性を増強させる可能性、あるいはアストロサイト自身又はアストロサイトが分泌する因子がTMZの不活化に関与する可能性が考えられ、今後検討する予定である。
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