2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性脳腫瘍の抗癌剤抵抗性に及ぼす腫瘍内微小環境の関与の解析とその治療への応用
Project/Area Number |
20591731
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
竹永 啓三 島根大学, 医学部, 准教授 (80260256)
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Keywords | 脳腫瘍 / 薬剤抵抗性 / 微小環境 / アストロサイト |
Research Abstract |
悪性脳腫瘍の抗癌剤抵抗性に及ぼす腫瘍内微小環境(アストロサイトとの相互作用、低酸素)の関与を検討し、治療に応用する情報を得ることを目的として研究を進めた。昨年度までに、ラットアストロサイトとEGFP発現ラットC6グリオーマ細胞あるいはヒトグリオーマU837-MG細胞との共培養系を用い、各種抗癌剤の細胞増殖抑制作用を単独培養の1場合と比較した結果、共培養系においてグリオーマ細胞に対するtemozolomide(TMZ)の効果が減弱すること、この現象は低酸素下でも認められること、互いの細胞接着に非依存性に起こること、アストロサイトとの共培養系に特異的現象であること等を見出した。本年度は、アストロサイは刺激を受けると様々なサイトカインを分泌することが知られているので、その中のinterleukin-1beta(IL-1beta)、tumor necrosis factor-alpha (TNF-alpha)、transforming growth factor-beta (TGF-beta)の影響を検討した。C6細胞に種々の濃度のサイトカイン存在下でTMZを作用させ、TMZ感受性を調べたところ、これらのサイトカインは全く影響を及ぼさないことが判った。さらに、C6細胞で刺激したアストロサイトのconditioned mediumもC6細胞のTMZ感受性に影響を与えないことが明らかになった。これらの結果から、アストロサイトが分泌する因子の関与は否定された。一方、アストロサイトとTMZをインキュベートすると、早期にTMZのC6細胞に対する細胞増殖抑制作用が減少するが、NIH3T3細胞ではこのような現象がほとんど認められないことが判った。このことから、アストロサイトがTMZを不活化することが考えられたが、現在のところその機序は不明であり、今後の進展が望まれる。
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