Research Abstract |
[目的]PET,MRIによる分子イメージングを用い、神経膠腫の代謝情報を検討し,特に^<18>Fフルオロアミノ酸(^<18>F-DOPA)PETの脳腫瘍診断における有用性を検証した. [方法]脳腫瘍の疑いがある51症例に対して,^<18>F-DOPA PET,ブドウ糖(^<18>F-FDG)PET,およびMRスペクトロスコピー(MRS)を施行した.組織学的診断は,頭蓋内腫瘍32例(神経膠腫25例),非腫瘍性病変12例,診断未確定7例であった.この内,神経膠腫症例に対し,1)PETによる集積定量解析値(SUV)の腫瘍/健常脳(T/N)比,腫瘍/線条体(T/S)比,2)MRSによるコリン(Cho),N-アスパラギン酸(NAA)など代謝物の量・相互比,および,3)WHO分類の腫瘍悪性度(グレード)を検討した. [結果]^<18>F-DOPA PETでは,全例で健常大脳皮質とのコントラストが良好で,病変の進展範囲描出に優れていた.T/N比およびT/S比は,良性であるグレード1-2と,悪性であるグレード3(p<0.05),およびグレード4(p<0.005)の間で有意差が認められ,良性-悪性腫瘍間で集積度の異なる傾向が示された。また,NAA/Cho比と,T/N比(r=-0.65)およびT/S比(r=-0.61)の間で有意な逆相関が認められ,NAA/Choの示す神経細胞の減少,細胞膜増殖性亢進と,^<18>F-DOPA PETの示す腫瘍細胞膜アミノ酸トランスポーター発現の間に関連性が示された.一方,^<18>F-FDG PETが示すブドウ糖代謝と,他の代謝変化との間に関連性は認められなかった. [結語]^<18>F-DOPA PETにおけるT/N,T/S比と,MRSにおけるNAA/Cho比は,相互に関連性を有し,腫瘍の代謝変化と,進展範囲や悪性度の診断に関する有用な情報を提供すると考えられた.
|