2010 Fiscal Year Annual Research Report
靭帯骨化症の分子基盤―Runx3遺伝子欠損マウスを用いた検討―
Project/Area Number |
20591739
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
阿江 啓介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (20376726)
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Keywords | 靭帯骨化症 / Runx3 |
Research Abstract |
これまでに我々は、Runx3欠損マウスの骨・軟骨組織を解析し、Runx3欠損マウスでは長管骨の長さの短縮、著明な骨形成率の低下を見出している。本年度はこの知見に基づき、Runx3の骨代謝における作用を分子生物学的に明らかにしようとした。Runx3欠損マウスから得た骨芽細胞を培養したところ、その増殖は極めて遅かった。一方、骨芽細胞の分化には大きな異常は認められなかった。また、共同研究者により樹立された骨芽細胞特異的Runx3欠損マウスでは骨量の著しい低下を認めた。したがって、軟骨ではなく、骨で発現するRunx3が骨形成において重要な作用を持つことが明らかになった。Runx2は骨芽細胞分化のマスター因子として、Runx1は間葉系細胞から軟骨への重要な分子として知られているため、昨年度Runx1/Runx2/Runx3三重ヘテロ欠損マウスを作製したが、大きな骨格系の異常は認められなかった。骨におけるRunx3とRunx2の協調的作用を解明するため、現在Runx2/Runx3二重ホモ欠損マウスを作成すると同時に、Runx1/Runx2/Runx3三重欠損ホモマウスも作成中である。現在、Runx1ホモ欠損、Runx2/Runx3ヘテロ欠損マウスの作成まで順調に進んだ。さらに、靭帯骨化症におけるRunx3の意義を解明すべく、ttwマウスとRunx/3欠損マウスを交配し二重遺伝子変異マウス(Runx3-/-/ttwマウス)を作成したがRunx3の明らかな靭帯骨化症に及ぼす影響はμCTを用いた三次元的な再構築や組織学的な解析からは同定することが認められなかった。
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