2009 Fiscal Year Annual Research Report
アダムキュービッツ動脈高位を含む分節動脈結紮による脊髄血流および機能に関する研究
Project/Area Number |
20591740
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
富田 勝郎 Kanazawa University, 医学系, 教授 (00092792)
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Keywords | アダムキュービッツ動脈 / 脊椎分節動脈 / 脊髄血流 / 脊髄モニタリング / 虚血性脊髄障害 / 動脈結紮 / 脊椎腫瘍 / 腫瘍脊椎骨全摘術 |
Research Abstract |
当科では原発性の脊椎悪性腫瘍や脊椎転移癌に対し腫瘍脊椎骨全摘術(高度先進医療)を行っている。術前の脊椎分節動脈塞栓術により術中出血量を明らかに減少させることができ、この術式では術中の脊椎分節動脈の結紮が必要になる。本研究の目的は、胸腰髄の主要栄養血管であるAdamkiewicz動脈の高位において、両側何対の脊椎分節動脈の結紮が虚血性脊髄障害を引き起こしうるかを脊髄血流量の変化と脊髄機能を評価して検討することである。 本研究では各実験後に動脈造影を行い、第5腰髄(L5)高位にAdamkiewicz動脈が存在した犬のみを対象として採用した。前年度は、Adamkiewicz動脈高位を含んだ両側1対から4対までの分節動脈の結紮を行った後に結紮後10時間まで脊髄血流量の測定と脊髄モニタリングを行い、4対結紮群における3匹中1匹に脊髄モニタリングで異常値を認めた。(実験1)この結果を受けて、今年度は別の犬を用いて、両側3対(L4-6:n=5)、両側4対(L3-6:n=5)結紮群における術後1週間の後肢運動機能を評価した。その結果、両側3対結紮群の5匹はすべて正常だったのに対し、両側4対結紮群の5匹中1匹の後肢・尾に不全麻痺を認めた。(実験2) 以上の結紮後の脊髄血流測定と脊髄モニタリングを用いた脊髄機能評価を行った実験1と、術後の後脚の運動機能を評価した実験2から、犬におけるAdamkiewicz動脈の高位を含んだ4対以上の両側分節動脈の結紮は虚血性脊髄障害を生じる可能性が示唆された。
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