2009 Fiscal Year Annual Research Report
椎間板変性解明への分子生物学的アプローチと新しい治療法の確立
Project/Area Number |
20591741
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
波呂 浩孝 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (10313264)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 篤人 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (80317445)
|
Keywords | TNF-α / VEGF / angiogenesis |
Research Abstract |
腰椎椎間板ヘルニアや変形性脊椎症を代表とする腰椎退行性疾患には、変形性関節症と同じく軟骨で構成される椎間板の変性を基盤として発症するものが多く、椎間板変性のメカニズムを特定することは腰椎疾患の成因解明にとって極めて重要である。我々はこれまで椎間板ヘルニアの原因究明を行い、炎症性サイトカインであるTNF-α及びTWEAKからタンパク分解酵素のMMPが誘導されるまでの系を明らかにしてきた。また、炎症性サイトカインの活性からMMPの誘導との間にはVEGFをはじめとする血管新生因子の作用が必須であることがわかった。そこで、平成21年度では軟骨変性過程におけるTNF-α関連因子と血管新生因子の両者に着目して、マウス椎間板による組織培養を行い、炎症性サイトカインTNF-α刺激による血管新生作用を有するVEGF(Vascular Endothelial Growth Factor)の発現機序とその濃度、時間依存性、若年から高齢マウスを用いた年代別の血管誘導能について検討を行った。 その結果、下記のことを新たに発見した。 1.TNF-αはTNFレセプターIを介し、NF-kappaB経路でVEGFを椎間板細胞から発現誘導していた。さらにVEGFの産生量は刺激するTNF-αの濃度・時間に依存していた。 2.TNF-α刺激によって誘導されるVEGFの産生量及びIn vitroのAssayで測定した血管増生能は実験マウスの経年的に減少した。 この結果から、椎間板ヘルニアにおける血管誘導能は加齢によって阻害されることが示唆された。 これらの結果は国際学術誌に報告を行った。(J Orthop Res 27, 229-235, 2009).
|
Research Products
(2 results)