2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20591746
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
吉田 宗人 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (60201018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 展行 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (90438276)
中塚 映政 関西医療大学, 保健医療学部, 教授 (30380752)
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Keywords | 脊髄損傷 / 神経科学 / 生理学 / シグナル伝達 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
脊髄虚血とグルタミン酸の関与を脊髄前角細胞で調べた。まず、脊髄前角細胞からホールセル・パッチクランプ記録を行うと、自発性の興奮性シナプス後電流(sEPSC)が観察された。グルタミン酸受容体拮抗薬である6-cyano-7nitrquinoxaline-2, 3-dione(CNQX; 10μM)ならびにD(-)-2-amino-5-phosphonopentanoic acid(AP-5; 50μM)の存在下において、sEPSCは完全に消失することから、sEPSCはグルタミン酸を介する興奮性シナプス応答であった。次にCNQXとAP-5の存在下に、36±0.5℃において酸素とグルコース除去した人工脳脊髄液を灌流し、実験的虚血負荷を行った。実験的虚血負荷数分後に内向き電流(脱分極応答)が発生した。この内向き電流は、傾きが緩徐な内向き電流と引き続いて発生する急峻な内向き電流で構成されていた。虚血負荷開始から緩徐な内向き電流及び急峻な内向き電流が発生するまでの平均潜時は、それぞれ305.0±17.6秒(24細胞)、478.3±18.8秒(24細胞)であり、グルタミン酸受容体拮抗薬の非存在下と比較して有意に延長した。しかしながら、CNQXとAP-5の存在下における虚血負荷により発生する緩徐な内向き電流及び急峻な内向き電流の傾きは、それぞれ0.38±0.05pA/s(24細胞)、3.43±0.79pA/s(24細胞)で、グルタミン酸受容体拮抗薬の非存在下と比較して有意差は認められなかった。次に急峻な内向き電流発生までの潜時を前角細胞と後角細胞で比較すると、前角細胞において潜時は有意に短かった。急峻な内向き電流の振幅を前角細胞と後角細胞で比較すると、前角細胞において急峻な内向き電流の振幅は有意に大きかった。さらに正常人工脳脊髄液を再灌流して、脊髄前角細胞と後角細胞の回復率を比較すると脊髄前角細胞は後角細胞より回復率が低い傾向を認めた。
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Research Products
(29 results)