2009 Fiscal Year Annual Research Report
肉腫肺転移に対する、デコリンを用いた画期的な治療戦略の確立
Project/Area Number |
20591752
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
松峯 昭彦 Mie University, 医学部附属病院, 講師 (00335118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 淳正 三重大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40176681)
楠崎 克之 三重大学, 医学部附属病院, 診療等従事者 (30177993)
若林 弘樹 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50362687)
熊本 忠史 三重大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50362348)
明田 浩司 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20422826)
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Keywords | デコリン / 肉腫 / 肺転移 / 治療 / 抗腫瘍効果 / 細胞外基質タンパク |
Research Abstract |
肉腫患者の予後を改善するためには、肉腫の最大の予後決定因子である肺転移成立のメカニズムを明らかにし、肺転移を抑制することが不可欠である。現在まで我々は、生体内に細胞外基質タンパクとして大量に存在するデコリンが、マウス骨肉腫細胞株の遊走能と浸潤能を低下させることで肺転移を制御することを明らかにしてきた。そこで、ヒト由来肉腫細胞株での抗腫瘍効果を検証したところ、種類のヒト骨肉腫細胞株(HOS, SaOS2, MG63)、悪性神経鞘腫(HS-PSS)、横紋筋肉腫(HIRS-BM),滑膜肉腫(HS-SY-II)においても、デコリンは抗腫瘍効果を有していることが明らかとなった(現在投稿準備中)。次に、肉腫細胞ばかりでなく、乳癌細胞株(MDA231細胞株)においては、その骨転移を強力に抑制することを報告した。また、驚くべき事にヌードマウスへの肉腫細胞の移植と同時にデコリンタンパクを腹腔内投与すると、腫瘍の形成が強力に抑制されることも見いだした。さらに、デコリンの抗腫瘍効果発現最小領域(DCN-minタンパク)を検討したところ、コアプロテインのLeucine-rich repeat内のTGF-β結合部位である事がわかった。デコリンは生体内に細胞外基質タンパクとして大量に存在する"ありふれたタンパク"であるが、生体内では腫瘍の進展に抑制的に作用していることが明らかとなった。これらのことから、デコリンおよびDCN-minタンパクは、安全な抗腫瘍薬となる可能性があることがわかった。
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Research Products
(18 results)