2008 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍肺転移成立における骨髄由来細胞によるニッチの形成とその役割
Project/Area Number |
20591754
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 伸之 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (50324752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
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Keywords | 骨軟部腫瘍 / 肺転移 / 微小環境 |
Research Abstract |
我々が樹立したマウス骨肉腫高肺転移株LM8を用いたin vitro解析を中心に研究計画をスタートした。すでに肺転移成立過程に核内因子kB(NF-kB)が重要な働きをすることを明らかにしていたが、肺・肝・腎・脾臓の各器官培養上清によるLM8におけるNF-kB活性の変化を検討したところ、肺の培養上清で有意に活性促進が認められた。またII型肺胞上皮細胞、肺胞マクロファージの各細胞株培養上清でも活性促進効果がみられ、これに呼応して血管内皮細胞増殖因子(VEGF),マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)など転移関連遺伝子の発現が亢進していたことから、骨肉腫細胞は宿主肺細胞が形成する微小環境(ニッチ)からNF-kB促進作用を介して転移の臓器特異性を獲得していることが示唆された。マクロファージはNF-kBの活性促進作用を持つ腫瘍壊死因子(TNF-a),オステオポンチンを多量に産生しこれらに対する中和抗体にてNF-kB活性は抑制されたことから、とくに肺胞マクロファージがLM8肺転移形成に重要であることが明らかとなった。これら肺微小環境のin vitro解析に加え、ヒト骨軟部腫瘍患者からの血中骨髄由来細胞検出のため、本年度倫理委員会申請を行ない平成21年1月26日臨床研究の承認を得た(大阪大学承認番号08189)。また系統の異なるLM8細胞(C3H系)を用いたin vivo解析に供するためGFPマウス(C57BL系)のバッククロスを開始するため、遺伝子組換え実験申請や動物実験申請をおこないいずれも今年度承認を得ることができた。
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