2010 Fiscal Year Annual Research Report
悪性骨軟部腫瘍肺転移成立における骨髄由来細胞によるニッチの形成とその役割
Project/Area Number |
20591754
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 伸之 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50324752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
名井 陽 大阪大学, 医学部附属病院, 准教授 (10263261)
吉川 秀樹 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60191558)
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Keywords | 悪性骨軟部腫瘍 / 骨肉腫 / 肺転移 / NF-κB / ユビキチン修飾 |
Research Abstract |
昨年度の研究実績を踏まえNF-kBの活性化を行なう新規ユビキチンリガーゼのマウス肺転移モデルにおける役割をさらに解析した。このリガーゼの機能を抑制する実験では肺転移が有意に抑制されていたが、尾静注後の細胞を生体イメージングにて観察したところ、肺組織に捕捉された腫瘍細胞は本リガーゼの抑制がかかった状態では、肺微小血管にとどまることはできないことが明らかとなった。またNF-kBの活性化により高発現し、細胞接着に関与するICAM-1の機能を抑制するとやはり肺転移は有意に減少した。さらにユギキチンリガーゼ機能抑制後にICAM-1を強発現させたところ、肺転移能は回復することが明らかとなった。これらの結果から、骨肉腫肺転移においてはNF-kBの活性化が起こり、ICAM-1の発現を介して肺微小血管への接着性が高まり初期転移巣が形成され、さらには増殖や細胞運動能、細胞間マトリックスの分解亢進を伴って、転移巣が完成するものと考えられた。またNF-kBの抗アポトーシス作用に着目し、NF-kBの阻害剤パルテノライドによる放射線感受性増強試験を実施した。NF-kBが抑制されたマウス骨肉腫細胞では、放射線感受性の増強が確認され、背部皮下移植モデルでは生存も有意に延長した。本プロジェクトでは、当初計画したニッチの解析から初期肺転移巣におけるNF-kBの重要性を見出し、従来、蛋白の分解シグナルとして知られてきたユビキチンリガーゼが疾患と関連するシグナル伝達に直接関わっていることを初めて明らかにした。本リガーゼ特異的阻害剤の開発が行われており、治療への応用のための基礎的データとなった。
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Research Products
(5 results)