2010 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧低温プラズマを用いた腱癒着防止・腱縫合部癒合促進技術の開発
Project/Area Number |
20591755
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
内尾 祐司 島根大学, 医学部, 教授 (20223547)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 隆治 島根大学, プロジェクト研究推進機構, 准教授 (40263537)
中井 毅尚 島根大学, 総合理工学部, 准教授 (90314616)
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Keywords | 腱 / 外傷 / 癒着 / 大気圧プラズマ / 予防 / 線維芽細胞 / 酸素 / 窒素 |
Research Abstract |
1.プラズマの細胞および腱に対する効果 1)細胞の種類による感受性の違い:培養細胞株(正常ヒト皮膚線維芽細胞NHDF)と腱から採取した細胞(兎アキレス腱)はプラズマに対してほぼ同等の感受性を有していた。つまり、細胞分裂抑制、細胞剥離、細胞死滅に至るプラズマ照射の強さと期間はほぼ同等であった。したがって、プラズマ処理の効果は細胞の違いには大きく影響されないと考えられた。 2)細胞膜の変化:細胞が生きた状態に保ったまま、細胞膜透過性の亢進を試みた。しかし、生物学的あるいは治療に直結する再現性のある条件は見いだせなかった。つまり、alive/dead stainの両方に染色される細胞はあったが、当該細胞には遺伝子導入ができなかった。この原因は、膜構造の化学的変化のみならず、細胞周囲基質の水分含量が影響していると考えられた。 2.プラズマの腱癒着防止効果 1)in vivo腱癒着防止効果:予備実験で得られたように、プラズマで癒着が防止できる傾向にあったが、手術後の安静が保てない実験例が多かったため、個体差が大きく統計学的有意差はえられなかった。しかし、一般にヒトの臨床においては、術後安静期間が長く、標準化した後療法が選択されるため、より明らかな効果が期待できる。 2)表面物理形状の違い:平滑な骨ピンと粗な骨ピンでは違いはなかった。また、プラズマによって表面微細構造が変化するかどうかを観察したが、定性的な違いを検出できなかった。プラズマの効果は、スパッタリングによる物理形状変化ではなく、官能基付与などによる化学的修飾によると考えられた。一方、金属ピンでは、表面微細構造の違いによって、癒合強度は顕著な違いが観察された。これも、生物材料に与える影響は化学的修飾によることを示唆していた。
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