Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60240355)
阿久根 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60282662)
馬淵 昭彦 東京大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80312312)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60401064)
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Research Abstract |
大腿骨頚部骨折(FNF)の簡便な予測指標として、大腿骨頚部の骨形態が有望視されているが、計測法が煩雑であり、骨形態計測による骨折予測指標を確立する上で、計測法の抜本的改善が必要不可欠である。そこで、昨年度はコンピュータによる大腿骨頚部骨形態自動測定システムの開発を行った。 本年度は本ソフトウェアの信頼性を確認するため、コホートの対象者からランダムに選んだ50例の両股関節レントゲン写真を用い、手動および本ソフトウェアによりfemoral neck axis length(FNAL),neck shaftangle(NSA),acetabular-head index(AHI),acetabular depth(AD),joint space area(JSA),center-edge(CE)angle,Sharp angleを同一医師が各々2回ずつ測定し、級内相関係数(ICC)を計算し、intraobserver variabilitiesを求めた。さらに、同項目を別の医師が測定する事により、interobserver variabilitiesを計算した。さらに、315例女性に対し同項目を計測し、Pearson's correlation testを用いて、各パラメータの相関を解析した。 手動測定による各パラメータのintraobserverおよびinterobserver variabilitiesはICC<0.55およびICC<0.67とあまり高いものではなかった。しかし、本ソフトウェアを用いた測定では、いずれもICC=1であり、極めて精度が高かった。各パラメータの平均値は、FNAL:108.8±10.3mm,NSA:135.8±9.3°,AHI:40.2±4.9%,AD:17.4±2.3mm,JSA:168.2±31.2mm^2,CE angle:33.0±3.3degree,Sharp angle:35.9±5.4°であった。各項目の相関はCE angle vs.Sharp angle(r^2=-0.50),AHI vs.Sharp angle(r^2=-0.50),FNAL vs.NSA(r^2=0.64),AD vs.CE angle(r^2=0.72),AD vs.ADI(r^2=0.92)であった。 今回開発した大腿骨頚部骨形態自動計測システムは、股関節X線画像を読み込ませるだけで、瞬時のうちに大腿骨頚部の骨形態を自動計測する画期的なシステムである。今後、コホート3,040例の大腿骨頚部骨形態値を計測し大腿骨頚部骨形態標準値を確立するとともに、FNF骨折患者と比較し、FNFに影響のあるパラメータを解明していくことが課題となる。
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