Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 典子 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60240355)
阿久根 徹 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (60282662)
馬淵 昭彦 東京大学, 医学系研究科, 准教授 (80312312)
岡 敬之 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (60401064)
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Research Abstract |
大腿骨頚部骨折(FNF)の簡便な予測指標として、大腿骨頚部の骨形態が有望視されているが、計測法が煩雑であり、骨形態計測による骨折予測指標を確立する上で、計測法の抜本的改善が必要不可欠である。そこで、昨年度までにコンピュータによる大腿骨頚部骨形態自動測定システムの開発を行い、その信頼性を確認した。 本年度は、本ソフトウェアを大腿骨頸部骨折患者(F群)67関節(男性11関節、女性56関節、平均年齢76.4歳)およびコントロールとしてコホート対象者(C群)からランダムに選んだ130関節(男性34関節、女性13G関節、年齢77.7歳)の両股関節X線写真に適用し、大腿骨頸部骨折に影響する大腿骨頸部骨形態を解明した。女性では、大腿骨骨幹部外側皮質骨最小幅(F群:4.25cm,C群:4.82cm,p=0.002)、大腿骨骨幹部内側皮質骨最小幅(F群:4.31cm,C群:4.91cm,p=0.005)、大腿骨頸部長(F群:18.1cm,C群:19.4cm,p=0.04)、Femoral neck angle(F群:131.0度,C群:128.0度,p=0.004)、Sharp angle(F群:33.8度,C群:38.2度,p=0.01)においてF群とC群で有意に差がみられた。一方、男性では大腿骨骨幹部外側皮質骨最小幅(F群:4.49cm,C群:5.23cm,p=0.03)、大腿骨骨幹部内側皮質骨最小幅(F群:4.77cm,C群:5.61cm,p=0.02)Femoral neck angle(F群:134.3度,C群:128.9度,p=0.01)、Sharp angle(F群:25.0度,C群:36.6度,p=0.01)においてF群とC群で有意に差がみられた。多重ロジスティック回帰分析にて、独立変数を年齢、性別、大腿骨骨幹部外側皮質骨最小幅、大腿骨頸部長、Femoral neck angle、Sharp angleとして解析したところ、大腿骨骨幹部外側皮質骨最小幅(オッズ比0.66、95%信頼区間0.48-0.90)、Femoral neck angle(1.10、1.03-1.18)、Sharp angle(0.92、0.87-0.96)が有意な危険因子であった。 本研究により、大腿骨骨幹部外側皮質骨最小幅が低値であること、Femoral neck angleが大きいこと、およびSharp angleが小さいことが大腿骨頸部骨折の危険因子であることが解明された。
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