2009 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨下骨組織の健常化による関節疾患の予防・治療に関する研究
Project/Area Number |
20591779
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
豊島 良太 Tottori University, 医学部, 教授 (50144671)
|
Keywords | 関節軟骨 / 軟骨下骨組織 / 関節破壊 / 関節リウマチ / コラーゲン誘発関節炎 / 抗TNF製剤 |
Research Abstract |
関節において関節軟骨と軟骨下骨組織は骨軟骨結合部を介して接合しており、一方の病変は容易に他方に影響を及ぼし、拡大、進行すると考えられる。本研究は、正常関節における軟骨下骨組織の構造と代謝、そして変形性関節症(OA)と関節リウマチ(RA)における変化を検討し、OAの発症・進展とRAの関節破壊に関わる軟骨下骨組織の役割を明らかにすることによって、OAとRAの予防・治療に資することを目的とするものである。 今年度は、抗TNF製剤の一つであるエタネルセプト(etanercept, ETN)の、RAの動物モデルであるコラーゲン誘発関節炎(collagen-induced arthritis, CIA)ラットの関節軟骨と軟骨下骨組織に及ぼす影響を検討した。 6か月齢雌SDラットに対してコラーゲン感作を行い、CIAラットを作製し、これにETNを投与し、軟骨下骨組織と関節軟骨の病変について、非投与ラットと比較検討した。軟骨下骨組織におけるパンヌスによる炎症性破壊病変は非投与ラットに比べてETN投与ラットで軽減していた。さらに、ETN投与ラットでパンヌスに接する骨面は新たに形成されたと考えられる類骨で覆われ、修復機序の発現を認めた。一方、関節軟骨においてはETN投与ラットでも破壊の修復は見られなかった。軟骨下骨組織中のmRNAの発現は、ETN投与ラットでTNFとDickkopf-1の低下とWntの上昇を認め、軟骨下骨組織における骨形成機序、すなわち修復機序の存在が確認された。
|