2010 Fiscal Year Annual Research Report
グルタミン酸受容体作動薬の脳微小血管およびAQP-4に与える影響に関する検討
Project/Area Number |
20591799
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大畠 博人 岐阜大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (60311700)
|
Keywords | グルタミン酸受容体 / アクアポリン / 脳微小循環 / 全身麻酔薬 |
Research Abstract |
脳血管周囲に存在するアストロサイト内には、アクアポリン-4(AQP-4)の局在が認められ、このAQP-4は脳浮腫の形成に関与していると報告されている。グルタミン酸受容体作動薬の脳血管に与える影響を検討する上で、AQP-4の局在部位を免疫染色法を用いて、また発現量をWestern blotting法を用いて検討した。さらに使用する全身麻酔薬の違いによるAQP-4発現の差異の検討は、病態による適正な使用麻酔薬の選択が可能になり、また全身麻酔中の種々の合併症発症時の対策にも有効であると考えられる。このような背景からラットを対象に全身麻酔薬として吸入麻酔薬のセボフルランと静脈麻酔薬のプロポフォールおよびデクスメデトミジンを使用して比較検討を行った。ラットを対象として、ハロセン麻酔下に気管切開を行い、呼気二酸化炭素分圧を35~40mmHgに維持するように調節呼吸を行う。また、直腸温は、ブランケット(小動物体温保持装置;Bio Research Center Co., Ltd.、BWT-100)を用いて36.5~37.5度に維持する。直接動脈圧測定用、および血液分析用採血路として尾動脈に、輸液および薬物投与路として大腿静脈に静脈路を確保した後、脳血管観察用の脳窓を作成した。作成後、全身麻酔薬(セボフルラン、プロポフォールおよびデクスメデトミジン)の投与を開始し、その後グルタミン酸受容体作動薬の脳窓内投与を行った。NMDAおよびAMPAによる脳血管拡張作用を観察した後、脳標本を取り出しAQP-4の免疫染色を行った。本年度において新たに静脈麻酔薬として術後の集中治療領域で用いられているデクスメデトミジンを追加してAQP-4の発現の定性的な検討を行ったが、これまでの麻酔薬同様に局在部位の差異は認められなかった。また同時にWestern blotting法を用いた定量的評価は、技術上の問題が理由と考えられるが量的評価を行うための十分な結果を得ることができなかった。
|