2009 Fiscal Year Annual Research Report
siRNAによる遺伝子発現抑制系を用いたプレコンディショニングの機序の解明
Project/Area Number |
20591803
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上林 卓彦 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (10273640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 行雄 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60294063)
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20324767)
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Keywords | ラット / プレコンディショニング / 脳虚血 / 心筋虚血 |
Research Abstract |
1. 脳虚血モデル:対照群では右中大脳動脈を60分間閉塞した。この処置から2週間後にラットを灌流固定し、脳組織を摘出して切片標本を作製した。プレコンディショニング群では上記虚血エピソードの直前に5分間の右中大脳動脈閉塞と10分間の再環流を行った。ラットの脳切片標本を光学顕微鏡で観察し、梗塞部位をトレースして連続切片における梗塞部位の面積を集計することにより梗塞を起こした脳の体積を計算し、プレコンディショニング群と対照群を比較した。設定した実験条件ではプレコンディショニング群にて梗塞巣が小さくなる傾向が認められたものの有意ではなく、パワーアナリシスにおいても有意差を出すためにはかなりの動物数が必要と判断された。今後データーのばらつきを減少させるためラットの系統を近交系に変更するなどの改善策を試みる予定である。 2. 心筋虚血モデル:対照群ではラットに麻酔を施し、左冠状動脈の血流を30分間血流を遮断した。再灌流から1時間後、左冠状動脈にかけた糸を再び締め、エバンスブルーを投与した後にラットを安楽死させ、速やかに心臓を摘出した。プレコンディショニング群では上記虚血エピソードの直前に5分間の冠状動脈遮断、10分間の再灌流を行った。心室筋の切片を作成し、triphenyltetrazolium chloride(TTC)にて染色を行い、エバンスブルーで染色されなかった部位の体積(虚血に陥った心筋組織の量)とTTCで染色されなかった部位の体積(梗塞に陥った心筋組織の量)を測定し、梗塞範囲と虚血範囲の比を求めた。その結果プレコンディショニング群では対照群に比し有意に梗塞範囲が減少することが明らかになった。今後HIF-1αに対するsiRNAの投与を行った上で同様の実験を行い、プレコンディショニングに関わるHIF-1α系の役割を明らかにする予定である。
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