2010 Fiscal Year Annual Research Report
siRNAによる遺伝子発現抑制系を用いたプレコンディショニングの機序の解明
Project/Area Number |
20591803
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上林 卓彦 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (10273640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 行雄 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60294063)
澁田 達史 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20324767)
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Keywords | ラット / プレコンディショニング / 脳虚血 / 心筋虚血 / 脳死 / 心機能 |
Research Abstract |
1. 脳虚血モデルの作成とプレコンディショニング効果の確認 データのばらつきを減少させる目的で遺伝子の個体差が少ない近交系Fisherラットを用いた。対照群では右中大脳動脈を60分間閉塞し、プレコンディショニング群ではその直前に5分間の右中大脳動脈閉塞と10分間の再環流を行った。この処置から2週間後にラットを灌流固定し、脳切片標本を光学顕微鏡で観察した。プレコンディショニング群と対照群で梗塞を起こした脳の体積を比較した。しかし今回もプレコンディショニング群で梗塞巣が小さくなる傾向があったものの統計学的有意に至らなかった。2群の差を明らかにするために電子顕微鏡や免疫組織化学的手法を用いたより鋭敏な脳細胞のダメージの評価を行う必要性があることが示唆された。 2. ラット心筋プレコンディショニングに対するsiRNAの効果の確認 すでに確認した心筋虚血モデルにおけるプレコンディショニング効果に対し、HIF-1α遺伝子に対するsiRNAの導入は有意な影響を与えなかった。摘出心筋組織を用いてHIF-1α遺伝子のmRNAをRT-PCRにて測定したところsiRNAによる遺伝子発現の抑制は軽度であった。より遺伝子抑制効率のよいsiRNAデザインの検討が必要と考えられた。 3. 脳死後の心機能低下におけるMATP感受性カリウムチャンネルの役割の検討 本研究を通じて中枢神経系へのダメージが心機能に悪影響を与える傾向があることを経験した。またプレコンディショニング現象のメカニズムとしてのHIF-1α系以外の有力な候補であるMATP感受性カリウムチャンネルに作用するNicorandilにより中枢神経障害後の心機能の改善が認められた。この2つの知見を発展させ、脳死による心機能低下のメカニズムにMATP感受性カリウムチャンネルが関与することを明らかにした。
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Research Products
(1 results)