2009 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の作用発現調節機構-脳内薬物動態と脳波、交感神経受容体との関連
Project/Area Number |
20591813
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小田 裕 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 准教授 (70214145)
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Keywords | リドカイン / ブピバカイン / レボブピバカイン / 脳細胞外液 / 血液脳関門 / 中枢神経毒性 / マイクロダイアライシス |
Research Abstract |
末梢神経ブロックや硬膜外麻酔目的で多量の局所麻酔薬が投与される場合がある。これらの局所麻酔薬が投与局所から血管内に吸収されて血中濃度が上昇すると、局所麻酔薬中毒により様々な症状を生ずる。ブピバカインは臨床において汎用される長時間作用型局所麻酔薬であるが、血中濃度の上昇により興奮・痙攣などの中枢神経症状が生じ、さらには不整脈などの心血管症状が誘発される。ブピバカインは従来からラセミ体が用いられてきたが、近年になって光学異性体の一方であるレボブピバカインが用いられるようになった。レボブピバカインはラセミ体ブピバカイン(以後、ブピバカイン)に比べて中枢神経毒性、心毒性とも低いが、この原因は不明であった。我々は覚醒状態のラットにおいて、マイクロダイアライシス法を用いて血中および脳細胞外液中のブピバカイン、レボブピバカインの濃度を測定し、これらの薬物動態を短時間作用型局所麻酔薬であるリドカインと比較検討した。3種類の局所麻酔薬は各々2時間にわたって持続投与し、投与終了後2時間にわたって血液および脳灌流液の採取を行った。できるだけ脳内の濃度と末梢血液中の濃度の平衡を保つため。低速で持続静注を行い、実験中は血圧・心拍数および血液ガスを一定に保った。その結果、ブピバカイン、レボブピバカインとも血中濃度はほぼ等しく、蛋白結合はリドカインよりも高い約80%であった。リドカイン、ブピバカインの脳細胞外液中の濃度は血中の蛋白非結合分画とほぼ等しかったが、レボブピバカインはブピバカインよりも低かった。これはレボブピバカインの血液中から脳への移行がブピバカインに比べて低く、毒性がより低い原因の一つであると考えられた。
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Research Products
(13 results)