2010 Fiscal Year Annual Research Report
麻酔薬の作用発現調節機構-脳内薬物動態と脳波、交感神経受容体との関連
Project/Area Number |
20591813
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
小田 裕 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 准教授 (70214145)
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Keywords | リドカイン / ブピバカイン / レボブピバカイン / 脳細胞外液 / 血液脳関門 / 中枢神経毒性 / マイクロダイアライシス |
Research Abstract |
局所麻酔薬は、血中濃度の上昇により、興奮・痙攣等の中枢神経症状や、期外収縮・徐脈等の心血管系症状を生ずる。アミド型局所麻酔薬、中でもブピバカインは蛋白結合率・脂溶性とも高く、臨床使用に際して中枢神経症状が生じ易い上、心停止など心血管系の重篤な中毒症状が生じた場合は、蘇生が困難であることが知られている。ブピバカインは従来からラセミ体が用いられてきたが、近年になって一方の光学異性体のみから成り、中枢神経毒性、心毒性ともより低いレボブピバカインが用いられるようになった。我々は覚醒状態のラットにおいて、マイクロダイアライシス法を用いて血中および脳細胞外液中のブピバカイン、レボブピバカインの濃度を測定し、リドカインと比較検討することにより、これらの毒性の違いの生ずる原因を検討した。血液から脳への移行を定量化する目的で、血中濃度および脳内濃度、脳細胞外液中の濃度の時間-曲線下面積を求め、血中総分画(蛋白結合・非結合分画の和)から脳組織への移行(Kp)、血中蛋白非結合分画から脳組織への移行(Kp, u)、血中蛋白非結合分画から脳組織への移行(Kp, uu)を算出した。その結果、Kpは3種の麻酔薬間で差が無かったが、Kp, uはブピバカイン、レボブピバカインともリドカインより有意に高く、Kp, uuはブピバカインがレボブピバカイン、リドカインに較べて有意に高いことが明らかになった。これらの結果から、レボブピバカインの血中総濃度、脳内総濃度比は他の2つの麻酔薬と等しいが、蛋白非結合分画の血液中から脳細胞外液への移行はリドカインやブピバカインに比べて急速に生じ、これが毒性がより低い原因の一つであると考えられた。
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Research Products
(15 results)