2010 Fiscal Year Self-evaluation Report
The effect of the single nucleotide Polymorphism on the changing of hemodynamics during general anesthesia
Project/Area Number |
20591815
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 一般 |
Research Field |
Anesthesiology/Resuscitation studies
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
木本 吉紀 Wakayama Medical University, 医学部, 講師 (20316110)
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Project Period (FY) |
2008 – 2011
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Keywords | 遺伝子多型 / 麻酔 / 血圧 / 予測 |
Research Abstract |
近年、高齢者や合併症を有する患者に対し麻酔をする機会が増えて来ている。中でも高血圧患者では、麻酔導入時における血圧の変動が大きいことが問題になっている。高血圧の原因の一つとして、セリン/スレオニンリン酸化酵素のひとつであるRho kinaseの活性が高いことが報告されている(1)。ヒトのRho-kinaseには、Rho-kinaseα/ROKα/ROCK2とRho-kinaseβ/ROKβ/ROCK1という2つのアイソフォームが存在する。このRho/rho-kinase pathwayは、myosin binding subunit of myosin phosphateを抑制することにより、リン酸化されたmyosin light chainを増加させ、血管平滑筋収縮をきたす。Rho-kinaseは、高血圧の発生機序のみならず治療標的として注目されている(1)。国際ヒトゲノムプロジェクトが完了し、近年ではその応用として、SNPs(Single Nucleotide polymorphism,一塩基多型;集団の中に1%以上存在するゲノム配列内の一塩基の変異)のデータの蓄積がなされてきている。SNPsには野生型と比べて、遺伝子の発現、機能に影響のあるもの、影響を与えないものが存在する。SNPの解析は、SNPの配列を決定するSNPマッピングと、既知のSNPのいずれに当てはまるかを決定するSNPのタイピングに分けられる。それらのゲノム情報をもとに、抗がん剤などの薬物動態やインスリン感受性に及ぼす影響など様々な分野で新しい概念として浸透しつつあり、遺伝情報に基づいた「オーダーメイド医療」が行われようとしている(2)。SNP解析の方法は近年,簡便化、高精度化がはかられていて、一度に多量のサンプルの解析が可能となっている(3)。Rho-kinase pathwayに存在するrock2遺伝子にはpolymorphismが数多く報告されており、いくつかのrock2遺伝子のSNPを有する患者では、有意に安静時拡張期血圧が高い報告されている(4)。すなわち、高血圧患者の病因には種々の要素があり、Rho kinaseのSNPsもそのひとつと考えられる。最近われわれは.血管平滑筋を用いて、吸入麻酔薬の一つである臨床濃度のSevofluraneがRho kinaseの活性を抑制することを証明した。(5)このことは、SNPsの知見と合わせて考えると、同じ高血圧患者でもrock2遺伝子多型により、吸入麻酔薬の影響を受けやすい患者が存在する可能性がある。そこで今回われわれは、高血圧患者では、Rho-kinase pathwayが活性化されており、遺伝子多型によっては、麻酔薬により血圧の低下の度合いが異なるという仮説をたてた。本研究では、ROCK2の遺伝子多型が、Rho-kinaseの活性に影響し、麻酔薬によって生じる血圧低下に対する予測因子となるかを明らかにすることを目的とする。
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Research Products
(5 results)